埼玉 同和行政終結差し止め請求裁判 。 「解同」の主張を全面的に退ける
埼玉 同和行政終結差し止め請求裁判
「解同」の主張を全面的に退ける
本庄市、上里町、深谷市の部落解放同盟員17人と解同埼玉県連が2013年3月に、同和対策事業の廃止と集会所・隣保館の廃止条例の無効の碓認及び集会所・隣保館の閉鎖による精神的苦痛への慰謝料(損害賠償1人百万円)を求めて提訴していた裁判の判決が9月28日、さいたま地裁で出されまし。(途中1人死去し当事者16人)。
多数の傍聴者が注目する中で、裁判長が「原告らの各訴えの内、金銭請求以外の請求に係る部分をいずれも却下する」(申立て自体が不適法として審理・判断なしで門前払いにする)、「原告らの金銭請求を棄却する」(審理し提訴に理由がないとして退ける)、「訴訟費用は原告らの負担とする」との主文のみを読み上げて5分足らずで閉廷。判断理由など一切なしの言渡しに「何だ!」の声も上がるなか超短時間で公判は終了しました。
最終弁論であった6月22日の第14回公判で、解同側の弁護士らは第7準書面で、継続となっている「部落差別解消促進法」の第1条でも「現在でも部落差別が存在している」としていることをあげて差別の現存を強調、地区の関係者が館長を務め安心して相談に行けた隣保館や集会所がなくなり困っている、同和行政廃止を当事者抜きで突然に一方的に決定したのは「信頼原則」違反であり許されない、などと主張。最近制定された「障害者差別禁止法」も援用して「障害者差別」を「部落差別」に置き換えて考えてほしい、などと主張しました。
2013年7月の第1回公判から3年余に及んだ公判廷では30年以上も過去の結婚差別や会話で受けた被差別経験の他は、近年の落書きやインターネット上の書き込みなど誰のどのような人権がどう侵害されたのかの説明もない「差別事象」をあげて部落差別の存在を強調し、「同対審答申」の「法があろうとなかろうと部落差別が存在する限り行政は取り組まなければならない」の文言を繰り返し持ち出して同和行政終了の不当性と集会所・隣保館が閉鎖されたことによる精神的苦痛に対する慰謝料請求を訴えてきました。
これに対して判決は、同和対策特別措置法の制定及びその後の立法の変遷を述べ、「同対審答申」を受けて昭和44年に特別措置法が時限立法として制定され、平成14年3月に地域改善対策特別措置法が失効したことにより特別対策の法的根拠がなくなったこと、特別対策は例外的なもので、特別対策の継続が同和地区のマイナスイメージの固定化になりかねず同和問題の解決に有効とは言えず、大規模な人口移動により地区・対象者を限定した施策の継続は困難などが指摘されてきたことなどを挙げて、同和行政終了、集会所・隣保館廃止条例制定の行為が、裁量権の逸脱・濫用とは言えないとして請求を却下、損害賠償請求については棄却と判決しました。
危惧された「決定に当たっての当事者への説明が不十分だった」などの「但し」書きは一切なく、特別措置法による時限的、例外的な特別対策が終了した平成14年に原告らは事業の廃止を予測し得たとまで言っています。
判決後の集会で解同側は、「最高裁まで徹底的に闘う」ことを決議したと伝えられています。