新型コロナウイルス対策を口実に、一方的に私権制限をはかる「緊急事態宣言」を含むインフル特措法改正の成立に抗議する
        2020年3月13日
        全国人権連事務局長 新井直樹
 新型コロナウイルスの感染が広がるもとで政府は、新たな法整備として「緊急事態宣言」を行い、「都道府県知事が外出の自粛や学校の休校などの要請や指示を行えるように」、新型インフルエンザ特別措置法と同等の措置を講ずることが可能となる改正法を提案し、附帯決議をつけて多数により成立した。
 全国人権連は、この間の安倍首相による新型コロナウイルスへの対応の「政治主導」とした独断の誤りが国民生活を混乱と不安に陥れていることを指摘するとともに、安倍首相や維新の会などから出ている緊急事態条項の新設を含む改憲への異常な執念を表明していることとも係わり、法改正に強い懸念を表明する。
 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎ、一刻も早く国民生活を安定させることは私たちにとっても政府にとっても重要な課題である。しかし、国民の不安に便乗し、新型コロナウイルスを理由に人権の制限を狙うことは許されない。新型インフルエンザ等対策措置法改正で想定される「緊急事態宣言」の発出にあたって、基本的人権の制約を必要最小限にとどめるとするための制約や仕組みが曖昧であり、政府による濫用の恐れはぬぐえない。憲法改悪の先取りに等しい。
 したがって法により「緊急事態」を「宣言」することにも絶対反対である。