沖縄の米海兵隊員による女子中学生暴行事件。いったい何度目だろう。問題が起きるたびに政府首脳は、「過去に何度か起こっているにもかかわらず、また起きてしまったことは本当に重大なことだと受け止めている。許されることではない」と遺憾の意を表明。今回も福田総理は、まったく同様のコメントを発表した。
今回の事件は、戦後60年以上経過しているにもかかわらず日本国内にアメリカ本国に匹敵する規模の米軍基地があることがすべての原因だ。アメリカでは日本にこれだけ多くの米軍基地と米兵一人当たり1100万円以上ともいわれる「思いやり予算」を含めた多額の国民負担がある事実がほとんど知られていない。
アメリカ国民が事実を知らない最大の理由は、政府とメディアが意図的に知らせていないからだ。だから日本で米軍基地があるため発生しているレイプ事件や殺人事件などもほとんど知られていない。犯人が判明しても日米地位協定があるために日本の国内法で裁けずアメリカ本国への強制送還で事件はうやむやになっている。
日米安保条約とそれに基ずく日米地位協定があるかぎり米軍基地も同様の事件もなくならない。これは沖縄にとどまらず米軍基地に隣接する自治体、基地を有するすべての都道府県に共通する課題でもある。米軍再編とそれに基ずく基地配置の変更や、自衛隊との共同訓練や自衛隊基地・演習場の使用はいまや日本全土に大きな波紋を投げかけている。いうなればこれは日本全体の課題なのだ。
時を同じくして、山口県岩国市の市長選挙では、衆議院議員が落下傘部隊として岩国市長選挙で当選した。新聞は、「岩国市民の民意として基地増強を受け入れ」と書きたてた。この点から見ても問題はどんどん国内全土に拡散しつつある感がいなめない。
国家の品格と政党及び政治家の理性と良心がまたも試されるときがきた。被害者の人権に最大限の配慮を要することは当たり前だが、この事件をなし崩し的に事件を終わらせてはならない。被害にあった子どものためにも、これから先の日本の未来のためにも。