文部科学省は三月末、全国人権連と全日本教職員組合など多数の教育関係団体から子どもたちの個人情報が侵害されるとして中止を求められている全国学力・学習情況調査(一斉学力テスト)で、「例外措置」として子どもの氏名を記入させず番号方式での実施を認めることを各都道府県教委に通知した▼だが、番号方式での実施を四月六日までに市町村が都道府県を通じて文科省に連絡しなければ例外措置は認めない。市町村の判断時間はわずか一週間。これでは「例外は認めるが認めない」も同然で姑息なやり方だ▼「調査」では子どもたちの家庭環境まで詳細に記載され、個々の家庭生活の情況が民間企業に集約される。保護者の経済格差が子どもたちの学力格差に反映、ひいては学校間格差、地域間格差と公教育での序列化を加速させる同テストには問題が多い。中止しかなかろう▼「犬山の子は犬山で育てる」との理念で教育行政をすすめている愛知県犬山市教委は「調査は競争によって学力の向上を図ろうとするもので、実施すべきではない」と不参加▼犬山市の姿勢に教育者としての矜持をみた。一服の清涼、喝采ものだ。(蕪)
【「地域と人権」全国版/4月15日号】