【談話】2016年参議院選挙の結果について

 7月10日投開票でたたかわれた参議院選挙は、改選121議席のうち、与党が過半数を上回る70議席(追加公認含めて)を獲得し、改憲勢力は参議院でも改憲の発議が可能となる162議席を占める結果となった。
 一方、戦争法廃止・立憲主義擁護を掲げた野党勢力は、与党による卑劣な「野合」批判が繰り返される中、42議席を獲得した。戦争法廃止を求める広範な市民と結んで、32の一人区で前回の2人から11人当選へと前進し、他の選挙区でも接戦に持ち込んだ。このなかで福島と沖縄では現職大臣を落選させ、東北5県でも野党統一候補が勝利した。市民と野党の共同の確かな可能性を示している。
 安倍首相は選挙が終わったとたん、争点隠しに終始した改憲論議に野党を巻き込んですすめる強い意欲を示した。自民党改憲草案が示すとおり、安倍首相がねらう改憲の本丸は、9条の制約を外して「国防軍を創設」し、海外でアメリカ追随の戦争ができる国にすることにあり、また、そのための緊急事態条項の創設や基本的人権の制約をねらっている。平和と民主主義、国民主権にかかわるこの国の在り方そのものが根底から問われる、かつてない事態に直面している。
 安倍首相は、大企業と富裕層に富を集中させるアベノミクスの乱暴な推進をはじめ、戦争法の具体化、沖縄名護市辺野古への米軍新基地建設、原発再稼働の推進、労働法制の改悪と雇用破壊、社会保障の削減と貧困層の拡大など、世論に反する政策の強権的な加速をも狙っている。
 全国人権連は、「いつまでも住み続けられ、平和で人間らしく、幸福に暮らせる地域社会」実現のために、安倍政権の改憲策動と戦争する国づくりに反対し、暮らしと福祉、教育、雇用をまもり改善するために、切実な要求を前面に掲げて、たたかいをすすめる。
 そのためにも、歴史の前進に逆行し、国民分断の人権侵害となる「『部落差別』固定化法」の成立を断固阻止するものである。
 日本国憲法と立憲政治、そして国民の日々の暮らしは、戦後最大の危機に直面している。そのことを改めて確認し、戦争法廃止、立憲主義の擁護で培った市民と野党の共同をさらに前進させて、安倍政権の「暴走」をなんとしてもくい止めるために奮闘するものである。
 2016年7月12日
全国地域人権運動総連合
事務局長  新井直樹