20年3月
月間記事のまとめ
月間記事のまとめ
東播人権連議長 前田泰義
兵庫県多可町議会が「部落差別」条例を拙速採択!
多可町議会は、3月19日に開催した本会議で、「多可町部落差別解消推進条例」の採決を強行し賛成8人反対5人で可決成立させました。
本会議審議は、「コロナウィルス感染予防」を口実に傍聴者を排除し、質疑討論を制限して議員の意見表明だけにとどめ拙速な採決に及びました。
この「部落差別条例」については町民の関心も強く、反対賛成の意見も真二つに分かれており、十分な審議時間を取り、慎重審議を行うよう求める意見が相次いでいました。
東播人権連は多可町号外8千枚を全戸配布
町長と議長に「慎重審議」を要請する署名1195筆
条例案については、2月3日から18日までの間、パプリックコメントが行われ、町民の意見が募集されました。町民の意見は二分し、町当局のまとめでは、賛成意見22人・23件、反対意見16人・51件となりました。賛成意見者は人数で多数となったものの、情報開示で全意見を読むと、理由も書かず1行や2行で「賛成」としか書いていないものも含まれていました。
反対意見者はパブコメの応募者だけではなく、町長および議会議長に宛てた条例制定に反対する署名数は3月17日段階で1195筆に達しました。
東播人権連と多可支部準備会は、町民5人の方々の反対意見を掲載したニュース多可町号外(3月11日付け)を8千枚作成し、新聞折込で町内くまなく届けました。号外に対する反応も大きく広がり、多可支部準備会には「条例」を危惧する声や反対運動を激励する声が数多く寄せられています。
町議会は残念ながら、町長提案の「部落差別」条例を拙速にも採択しましたが、今後は多くの町民の厳しい批判がますます強まります。人権連は「条例」に対する批判と抗議の運動をますます大きく広げ、町政革新を求める運動とも連結して「条例」を無力化させる闘いをすすめます。
町民は「条例」を厳しく批判、怒っています
加美区の男性は、この条例はこの半世紀にわたる同和行政に対する総括がない。とくに条文にある「各種団体」が推進してきた差別糾弾に対する評価をしないままその団体と連携すると言っている、と批判。
八千代区・男性は、「『差別部落』と『被差別部落』を明確にし、差別の実態がなくても溝を深め対立を生み出すための条例だと言わざるを得ません。」と批判。
加美区・男性は、「多可町のとりわけ中区の行政は(過去)その暴走に苦しめられ、公正を欠いたものになったのではないのか。解放同盟との『連携』は癒着ではなかったのか、多くの町民に苦痛と損害を与えたのではなかったか。かつて(1970年代の中頃を中心にとして)、解放同盟によって引き起こされた町行政の混乱に対する反省はないのか。ないとすれば、今後の町行政も信頼することはできない」と手厳しく批判しています。
多可町号外
202003210900.pdf
2020年3月19日
岡山労働局
局長 谷 中 善 典 様
働くルールを確立し,
就職保障と人権を守る岡山連絡会
共同代表 中 島 純 男
〃 鷲 尾 裕
〃 三 上 雅 弘
新型コロナウィルスによる新卒者就職内定取り消し問題などに関する要請書
平素より,県内を中心とした労働者の労働条件整備など,ご尽力いただいていることに敬意を表します。
さて,昨年末,中国に端を発した新型コロナウィルスが世界中に猛威を振るい,特に高齢者が感染により死に至る例も多発しています。対策として,人の動きが制約され経済も大打撃を受け,大きな混乱が起きています。この混乱は立場の弱い人たちを真っ先に直撃しています。
少なくとも,新卒者の内定取り消しの問題,非正規労働者の雇用の問題には早急な対策が必要です。社会に出ようとする矢先での新卒者の一方的な就職内定取り消しは青年の心に将来にわたって暗い影を落とす結果になります。また,多くの非正規労働者の存在を認めている日本社会の責任として日々の生活に困窮する労働者の救済は急務であると考えます。
つきましては,緊急に下記事項を要請しますので,格段の努力をお願いいたします。
記
1.新卒者の内定取り消しのないよう,岡山労働局として最大限の努力をすること。また,国として中小企業や個人経営者を中心とした支援の方策を講ずるよう本庁にもとめること。
2.あってはならないが,どうしても内定の取り消しや採用の延期をせざるを得ない場合は内定者に対し,次の就職先の紹介や相談,補償など真摯に対応するよう企業を指導すること。
3.非正規労働者の雇用支援策を早急に検討し,実行すること。国としての支援策を講ずるよう本庁にもとめること。
新型コロナウイルス対策を口実に、一方的に私権制限をはかる「緊急事態宣言」を含むインフル特措法改正の成立に抗議する
2020年3月13日
全国人権連事務局長 新井直樹
新型コロナウイルスの感染が広がるもとで政府は、新たな法整備として「緊急事態宣言」を行い、「都道府県知事が外出の自粛や学校の休校などの要請や指示を行えるように」、新型インフルエンザ特別措置法と同等の措置を講ずることが可能となる改正法を提案し、附帯決議をつけて多数により成立した。
全国人権連は、この間の安倍首相による新型コロナウイルスへの対応の「政治主導」とした独断の誤りが国民生活を混乱と不安に陥れていることを指摘するとともに、安倍首相や維新の会などから出ている緊急事態条項の新設を含む改憲への異常な執念を表明していることとも係わり、法改正に強い懸念を表明する。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎ、一刻も早く国民生活を安定させることは私たちにとっても政府にとっても重要な課題である。しかし、国民の不安に便乗し、新型コロナウイルスを理由に人権の制限を狙うことは許されない。新型インフルエンザ等対策措置法改正で想定される「緊急事態宣言」の発出にあたって、基本的人権の制約を必要最小限にとどめるとするための制約や仕組みが曖昧であり、政府による濫用の恐れはぬぐえない。憲法改悪の先取りに等しい。
したがって法により「緊急事態」を「宣言」することにも絶対反対である。
新型コロナウイルス対策のための特措法改正に反対する緊急声明
新型コロナウイルスの感染拡大が深刻さを増すなか、安倍政権は現行の「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(以下「特措法」と略記) の対象に新型コロナウイルス感染症を追加する法改正 (ただし、2 年間の時限措置とする) を 9 日からの週内にも成立させようと急いでいる。
しかしながら、特措法には緊急事態に関わる特別な仕組みが用意されており、そこでは、内閣総理大臣の緊急事態宣言のもとで行政権への権力の集中、市民の自由と人権の幅広い制限など、日本国憲法を支える立憲主義の根幹が脅かされかねない危惧がある。
そのような観点から、法律家、法律研究者たる私たちは今回の法改正案にはもちろん、現行特措法の枠内での新型コロナウイルス感染症を理由とする緊急事態宣言の発動にも、反対する。あわせて、喫緊に求められる必要な対策についても提起したい。
1 緊急事態下で脅かされる民主主義と人権
特措法では、緊急事態下での行政権の強化と市民の人権制限は、政府対策本部長である内閣総理大臣が「緊急事態宣言」を発する (特措法32条1項。以下、法律名は省略) ことによって可能となり、実施の期間は 2 年までとされるものの、1 年の延長も認められている (同条 2 項、3 項、4 項)。
問題なのは、絶大な法的効果をもたらすにもかかわらず、要件が明確でないことである。条文では新型インフルエンザ等の「全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるもの」という抽象的であいまいな要件が示されるだけで、具体的なことは政令に委ねてしまっている。また、緊急事態宣言の発動や解除について、内閣総理大臣はそれを国会に報告するだけでよく (同条 1 項、5 項)、国会の事前はおろか事後の承認も必要とされていない。これでは、国会による行政への民主的チェックは骨抜きになり、政府や内閣総理大臣の専断、独裁に道を開きかねず、民主主義と立憲主義は危うくなってしまう。
緊急事態宣言のもとで、行政権はどこまで強められ、市民の自由と人権はどこまで制限されることになるのか。特措法では、内閣総理大臣が緊急事態を宣言すると、都道府県知事に規制権限が与えられるが、その対象となる事項が広範に列挙されている。例えば、知事は、生活の維持に必要な場合を除きみだりに外出しないことや感染の防止に必要な協力を住民に要請することができる (45条 1 項)。また、知事は、必要があると認めるときは、学校、社会福祉施設、興行場など多数の者が利用する施設について、その使用を制限し、停止するよう、施設の管理者に要請し、指示することができる。また施設を使用した催物の開催を制限し、停止するよう催物の開催者に要請し、指示することができる (同条 2 項、3 項)。
外出については、自粛の要請にとどまるとはいえ、憲法によって保障された移動の自由 (憲法22条 1 項) を制限するものである。また、多数の者が利用する学校等の施設の使用の制限・停止や施設を使用する催物の開催の制限・停止という規制は、施設や催物が幅広く対象となり、しかも要請にとどまらず指示という形での規制も加え、強制の度合いがさらに強められており、憲法上とりわけ重要な人権として保障される集会の自由や表現の自由 (憲法21条 1 項) が侵害されかねない。
また、特措法の下で、NHKは、他の公共的機関や公益的事業法人とならんで指定公共機関とされ ( 2 条 6 号など。民放等の他の報道機関も政令で追加される危険がある)、新型インフルエンザ等対策に関し内閣総理大臣の総合調整に服すだけでなく (20条 1 項)、緊急事態宣言下では、総合調整に基づく措置が実施されない場合でも、内閣総理大臣の必要な指示を受けることとされている (33条 1 項)。これでは、報道機関に権力からの独立と報道の自由が確保されず、市民も必要で十分な情報を得られず、その知る権利も満たせないことになる。
さらに、知事は、臨時の医療施設開設のため、所有者等の同意を得て、必要な土地、建物等を使用することができるが、一定の場合には同意を得ないで強制的に使用することができる (49条 1 項、2 項)。これも私権の重大な侵害であり、憲法が保障する財産権にも深く関わる措置である (憲法29条)。
2 政府による対策の失敗と緊急事態法制頼りへの疑問
政府は、特措法改正の趣旨を、新型コロナウイルス感染症の「流行を早期に終息させるために、徹底した対策を講じていく必要がある」(改正法案の概要) と説明している。
しかし、求められる有効な対策という点から振りかえれば、中国の感染地域からの人の流れをより早く止め、ダイヤモンドプリンセス号での感染を最小限にとどめ、より広範なウイルス検査の早期実施と実施体制の早期確立が必要であった。にもかかわらず、国内外のメディアからも厳しく批判されてきたように、初期対応の遅れとともに、必要な実施がなされない一方で、専門家会議の議論を踏まえて決定されたはずの「基本方針」にもなかった大規模イベントの開催自粛要請、それにつづく全国の小中高校、特別支援学校に対する一律の休校要請、さらに中国と韓国からの入国制限などが、いずれも専門家の意見を聞かず、十分な準備も十分な根拠の説明もないまま唐突に発動されることによって、混乱に拍車をかけてきた。
本来必要な対策を取らないまま過ごしてきて、この段階に至って緊急事態法制の導入を言い出し、それに頼ることは感染の抑止、拡大防止と具体的にどうつながるのか、大いに疑問である。根拠も薄弱なまま、政府の強権化が進み、市民の自由や人権が制限され、民主主義や立憲主義の体制が脅かされることにならないか、との危惧がぬぐえない。現に、特措法改正を超えて、この際、今回の問題を奇貨として憲法に緊急事態条項を新設しようとする改憲の動きさえ自民党や一部野党のなかにみられることも看過しがたい。
3 特措法改正ではなく真に有効な対策をこそ
今回の特措法改正はあまりにも重大な問題が多く、一週間の内に審議して成立させるなどということは、拙速のそしりをまぬかれない。私たちは、政府に対し今回の法改正の撤回とともに、特措法そのものについても根本的な再検討を求めたい。加えて、次のことを急ぐべきである。すなわち症状が重症化するまでウイルス検査をさせないという誤った政策を転換し、現行感染症法によって十分対応できる検査の拡大、感染状況の正確な把握とその情報公開、感染者に対する迅速確実な治療体制の構築、マスクなどの必要物資の管理と普及である。感染リスクの高い満員通勤電車の解消、テレワークを可能にする国による休業補償、とりわけ中小企業への支援、経済的な打撃を受けている事業者に対するつなぎ融資や不安定雇用の下にある人々や高齢者、障がい者など生活への支援を必要とする人々への手厚いサポートが必要である。そのため緊急にして大胆な財政措置が喫緊である。
強権的な緊急事態宣言の実施は、真実を隠蔽し、政府への建設的な批判の障壁となること必至である。一層の闇を招き寄せてはならない。
2020年 3 月 9 日
梓澤和幸 (弁護士)
右崎正博 (獨協大学名誉教授)
宇都宮健児 (弁護士、元日弁連会長)
海渡雄一 (弁護士)
北村 栄 (弁護士)
阪口徳雄 (弁護士)
澤藤統一郎 (弁護士)
田島泰彦 (早稲田大学非常勤講師、元上智大学教授)
水島朝穂 (早稲田大学教授)
森 英樹 (名古屋大学名誉教授)
(*あいうえお順)
民主県政をつくるみんなの会(岡山)
http://b.kenro.jp/tag/民主県政をつくるみんなの会/
コロナウイルス対策にかかわり、県に対する要望書。
1、医師が必要と判断するウイルス検査が実施でき、感染しているかどうかの判定をすることは早期の治療、感染拡大防止の上で極めて重要です。また重篤な症状に十分な治療が受けられるよう万全の準備をすることで県民は安心して落ち着いた対応ができます。検査キットを県内全保健所や病院に配置するよう国に要請するとともに、検査体制の充実、入院病床の確保に努めること。
2、イベントの中止や事業活動の停滞、観光業、運送業等事業所への被害は深刻です。緊急・特別の融資措置を講じて、「困っているのに融資が受けられない」ことのないよう融資条件を緩和するなどの配慮をすること。また事業者が適切に労働者への賃金保障を講じるよう指導すること。国からの補償が直接労働者に届くように努力すること。自治体としても生活資金の援助を行うこと。
3、学校の休校などに伴う社会生活の混乱を避けるために子どもや保護者に丁寧な説明対応をすること。家庭での就学児童の保護や発病者の看病での休み、自身の感染が疑われる風邪症状での休みの取得を有給休暇でなく特別休暇として措置を講じるように指導すること。
4、休校を解除した後の開校以降に再度休校する場合があればその基準を、市町村の考えを尊重する事を前提に市町村教育委員会と議論して示すこと。
5、医療従事者や社会インフラに関する労働者の就労を保障するために、それらの労働者の休校となった子どもの面倒を見てくれる施策を確保すること。
6、マスクが確保できない小規模の医療介護現場へ早急に支援すること。
7、2月28日の厚労省の通達で、感染拡大防止のためにも「資格証明書を被保険者証としてみなして取り扱うこと」が示されましたが、必要な該当者に伝わらなければ、引き続き受診を控える事態が容易に想定され、厚労省の通知が生かされません。2009 年新型インフルエンザ流行時の資格証明書交付世帯への自治体の対応では、資格証明書交付世帯に短期保険証を交付した実績があります。この経験を活かし、感染拡大を防止するためにも、早急に資格証明書が交付されている国民健康保険の被保険者に対し行政から今回の取り扱いを直接説明し、直ちに短期保険証を交付するよう、自治体へ要請すること。
8、感染の拡大を防ぐために岡山県内における検査状況、感染者状況等必要な情報やプライバシーを確保したうえで厚生労働省への報告と同時に、その都度公表すること。
9、以上のことを含め対策強化のために必要な財源を県として新年度予算と19年度補正予算で確保すること。合わせて国に要請すること。