10年11月
月間記事のまとめ
月間記事のまとめ
11月13~14日の大会に提案したものです。(上段の「憲章」バーにも掲載してあります。)
討議時間不足などの意見があり、一年後の臨時大会に再検討した案を提案することになりました。
大会提案11131.pdf
理解のために111311.pdf
「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」への参加決定に反対する
政府は11月9日、「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」について、「関係国との協議を開始する」と明記した「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定した。その目的は、11月13日から開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、経済統合に取り組む菅内閣の姿勢をアピールすることにあると言われている。
TPPは、自由貿易協定(FTA)の要素(物品およびサービス貿易の自由化)に加え、貿易以外の分野(人の移動や投資、政府調達など)も含めた包括的な「貿易障壁」撤廃を、多国間で協定しようとするものである。
そのようなTPPへの参加は、国内の農林漁業などの第一次産業への影響はもとより、経済危機の原因ともなった「ハゲタカファンド」の投資行動や、産業構造への影響、産業構造変化にも起因する雇用への影響、移民労働問題、くつ・皮革産業の壊滅など、労働者にも直接的で広範な影響を及ぼすことが懸念される。にもかかわらず、菅首相が10月1日の所信表明で「参加検討」にふれ、それからわずか一ヶ月で交渉参加を決定するという経緯はあまりに拙速である。
1995年のWTO発足以降、「自由貿易」のもとで激化した国際競争に一部の企業が勝ち残ることを最優先する政策が取られた。その結果、非正規労働者の増加と賃金低下がすべての職場に広がり、「派遣切り」や外国人研修生問題に象徴される人権侵害、労働者使い捨ての企業経営が横行した。「年越し派遣村」に象徴される労働者の貧困も、自由貿易の拡大によって生じた社会問題である。
09年8月の政権交代は、そのような労働者のくらし軽視の政治への怒りに根ざしたものであった。雇用の安定や労働者・国民の所得増や地域経済活性化などを優先し、内需中心の経済への転換をめざすことが、総選挙での民主党政権への国民の負託である。
TPPへの全面参加によって、340万人の雇用が失われることを農林水産省が試算、食料自給率は14%まで低下しコメの自給率は1割以下になる。北海道だけでも2兆1千億円も経済規模が縮小するとされている。WTO協定の実行で、もっとも被害を受けた労働者や地域に、TPPでさらに追い打ちをかけ、貧困と格差のさらなる拡大は許されるものではない。
菅政権はTPP参加を求める一部大企業・財界の要望ではなく、悪影響を懸念する労働者、国民の声にこそ耳を傾けるべきである。農林漁業や地域経済の存在を危機に追いやり、地域での雇用喪失をより深刻化させ、国民生活破壊をもたらすTPPへの協議開始の撤回を強く求める。
以上決議する。
2010年11月14日 全国地域人権運動総連合第4回全国大会
11月14、15日の2日間、福岡市内で第4回大会が行われました。第4回大会は、国民の一定の期待を得て誕生した民主党政権のもとで、依然悪化し続ける大企業優遇と労働者使い捨ての雇用や予算削減と仕訳によるコストダウンを名目に削減され続ける社会保障、医療、教育など各分野において、国民全体の要求に根差した取組みや地域社会における様々な人権課題に対する取組みや人権連運動をさらに発展させる今後2カ年の運動方針を決定しました。
また、第4回大会は、今国会で国民的な合意形成も国内食料自給率も、雇用も何もかも無視した上で、環太平洋パートナーシップ協定(PTT)へ参加表明した民主党菅政権へ対して、「参加すべきでない」ことを旨とする特別決議を採択し、内閣府宛てに抗議文を発送しました。
大会に関する内容は、機関紙「地域と人権」に掲載されます。