社会権規約に関し外務省に意見提出
外務省は「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(社会権規約ともA規約ともよばれる)の第3回政府報告作成に関し、7月25日までの意見募集(下記参照)と8月7日に市民・NGOとの意見交換会を行います。
第3回政府報告書の提出期限は06年6月30日でした。第2回の際には8年4ヶ月遅れでの提出でした。労働や災害、教育、障害者、被災者再建等多岐にわたり規約委員会から勧告がなされていました。
*経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約・政府報告に関する意見(2項目)
平成19年7月25日 団体名(全国地域人権運動総連合)
1.政府報告書関連パラ番号:
01年9月24日付「委員会の最終見解」「E.提言及び勧告38」に関わって
2.見出し 「国内人権機構の設立について」
1.政府報告書関連パラ番号:
01年9月24日付「委員会の最終見解」「E.提言及び勧告40」に関わって
2.見出し
「部落の人々Buraku people」を「少数者集団minority groups」に位置づけることと、「差別をなくす」「必要な措置をとること」を「勧告する」ことの誤りについて
3.内容(「国内人権機構の設立について」)
政府提案の人権擁護法案は言論表現を規制し国民の自由な意見表明を侵害する等の問題があり、救済機関の仕組みや骨格そのものにも多くの疑義や反対があって継続審議を繰り返し、国会解散に伴って廃案になった。その後も与党内に根強い反対論もあって法案調整がつかないものである。
先の委員会勧告を政府が誠実に受けとめるならば、パリ原則が示す政府からの独立性の確保など、人権擁護法案の抜本的見直しに至るのが当然である。
私たちは、先ず現行の人権擁護体制を簡易迅速効果的な対応が行えるよう見直すことや、非強制的人権尊重思想の高揚を目的とする人権擁護委員の活動援助、個別人権課題に専門的に対応できるよう研修の充実を求める。
人権擁護法については、政治権力や大企業による人権侵害のみを特別救済の対象にし、報道や表現行為・内容については規制対象からはずす、そして国民間の平等に反する行為を明示してとりあげるなど、国連パリ原則にのっとった独立性と実効性が確保されることが重要な要件と考えており、国会では全会一致による採択となるよう政府による調整を求める。
政府報告にあたっては、廃案になった法案の一面的評価を強調せずに国民の間に多様な意見があることも記されたい。
3.内容(「部落の人々Buraku people」を「少数者集団minority groups」に位置づけることと、「差別をなくす」「必要な措置をとること」を「勧告する」ことの誤りについて)
国際人権法で積極的保護の対象となる「マイノリティ」は、ナショナル、エスニック、宗教的、言語的という4つの指標における少数派、とされる(ミネルブァ書房、07年5月『マイノリティとは何か』)。
この概念整理に従えば、「部落の人々」は同一民族であり、近代以降、封建社会の身分の残滓による差別を受けてきた集団であるから、上記4つの指標に当てはまらず「マイノリティ」とは位置づけられない。
さらに、2002年3月末に出された「同和関係特別対策の終了に伴う総務大臣談話」では、33年間に及ぶ特別対策の実施により「差別の解消」がはかられたことで、国の特別対策を終了宣言するとともに、「これまで特別対策の対象とされた地域においても他の地域と同様に必要とされる施策を適宜適切に実施していく」と、今後において「同和地区指定の解除」により地域や住民を同和と特定して事業を行わないことも明らかにしている。
こうした政府の見解を委員会にきちんと伝え、同和問題及び解決の到達、一般施策への移行と人権啓発の実施に取り組んでいることに理解を促す必要がある。