東播人権連議長  前田泰義

兵庫県多可町議会が「部落差別」条例を拙速採択!

多可町議会は、3月19日に開催した本会議で、「多可町部落差別解消推進条例」の採決を強行し賛成8人反対5人で可決成立させました。
本会議審議は、「コロナウィルス感染予防」を口実に傍聴者を排除し、質疑討論を制限して議員の意見表明だけにとどめ拙速な採決に及びました。
この「部落差別条例」については町民の関心も強く、反対賛成の意見も真二つに分かれており、十分な審議時間を取り、慎重審議を行うよう求める意見が相次いでいました。

東播人権連は多可町号外8千枚を全戸配布
町長と議長に「慎重審議」を要請する署名1195筆

条例案については、2月3日から18日までの間、パプリックコメントが行われ、町民の意見が募集されました。町民の意見は二分し、町当局のまとめでは、賛成意見22人・23件、反対意見16人・51件となりました。賛成意見者は人数で多数となったものの、情報開示で全意見を読むと、理由も書かず1行や2行で「賛成」としか書いていないものも含まれていました。

反対意見者はパブコメの応募者だけではなく、町長および議会議長に宛てた条例制定に反対する署名数は3月17日段階で1195筆に達しました。
東播人権連と多可支部準備会は、町民5人の方々の反対意見を掲載したニュース多可町号外(3月11日付け)を8千枚作成し、新聞折込で町内くまなく届けました。号外に対する反応も大きく広がり、多可支部準備会には「条例」を危惧する声や反対運動を激励する声が数多く寄せられています。

町議会は残念ながら、町長提案の「部落差別」条例を拙速にも採択しましたが、今後は多くの町民の厳しい批判がますます強まります。人権連は「条例」に対する批判と抗議の運動をますます大きく広げ、町政革新を求める運動とも連結して「条例」を無力化させる闘いをすすめます。

町民は「条例」を厳しく批判、怒っています

加美区の男性は、この条例はこの半世紀にわたる同和行政に対する総括がない。とくに条文にある「各種団体」が推進してきた差別糾弾に対する評価をしないままその団体と連携すると言っている、と批判。
八千代区・男性は、「『差別部落』と『被差別部落』を明確にし、差別の実態がなくても溝を深め対立を生み出すための条例だと言わざるを得ません。」と批判。

加美区・男性は、「多可町のとりわけ中区の行政は(過去)その暴走に苦しめられ、公正を欠いたものになったのではないのか。解放同盟との『連携』は癒着ではなかったのか、多くの町民に苦痛と損害を与えたのではなかったか。かつて(1970年代の中頃を中心にとして)、解放同盟によって引き起こされた町行政の混乱に対する反省はないのか。ないとすれば、今後の町行政も信頼することはできない」と手厳しく批判しています。

多可町号外
202003210900.pdf