コロナ収束にむけた直接支援、

拡充を含む予算案の組み替えを求める

~第204通常国会にあたって~

2021118

「軍事費を削って、くらしと福祉・教育の充実を」国民大運動実行委員

   事務局長   渡辺 正道

 

  1. 本日、616日までの150日間を会期とする第204通常国会が開会された。

いま、11都府県に「緊急事態宣言」が再発令され、全国的拡大の可能性と医療体制崩壊の危機が叫ばれるもとで、今国会の最大の使命はこれ以上の新型コロナ感染拡大を止め、国民のいのちと生活・雇用、営業を守る予算対策と実効性のある具体的施策を打つことである。

  しかし、政府が提出する第3次補正予算案の新型コロナ感染対策は4.4兆円のみで、その多くは国民の願いとは逆行する国土強靭化対策など不要不急のものであり、21年度予算案にいたっては過去最高の軍事費増や「デジタル化」推進により11.7兆円を計上するなど、大企業支援や巨大開発を推し進めるものとなっている。

  昨年末、日比谷公園での「12.19なんでも相談会」を機に、年末年始の首都圏での生活・労働相談、食糧支援など「コロナ相談村」や生活支援のNPO団体による取り組みは新聞・テレビでも大きく報道され、コロナ禍で仕事や住まいを奪われ、生活に困窮する人々の実態を可視化した。同時に、厚労省による異例の生活保護申請の働きかけもおこなわれるなか、貧困ビジネスの横行や政府の自己責任論の押し付けにより、相談者が生活保護申請を回避する傾向をもあぶり出し、こうした可視化のなかで、政府・自治体による「公助」の不十分性を明白にした。

政府は、115日で持続化給付金や家賃支援給付金の申請を打ち切るとしたが、世論と運動に押され215日まで延長することとした。雇用調整助成金の特例措置についても、2月末で縮小の方向である。新型コロナ感染拡大が続くもとでコロナ解雇が8万人を超え、216万件もの休業支援があるなかで、政府の打ち切りによる雇用・失業情勢の一層の悪化が懸念される。政府に対し、雇調金や給付金の延長と拡充を強く求めていく。

 

  1. また、今国会では、菅政権の目玉とする「デジタル庁」設置などを含むデジタル関連7法案の成立が狙われ

ている。

  その内容は、現在マイナンバーの利用可能な社会保障、税、災害対策の3分野から国民一人につき1口座とマインバーを紐づけるなど、社会全体の画一化・統一化が最大の狙いである。国民一人ひとりに対するプライバシー侵害をはじめ、一握りの企業のために国民の「ビッグデータ」を提供することは、コロナ禍で浮き彫りにされた格差拡大をより助長し、社会的排除や差別をますます拡げる危険がある。また、コロナ禍で瀕死の状態にある中小企業に対し「事業再構築補助金」を新設するなど、業態転換などによる中小企業再編をさらに推し進めるものである。その上、社会保障・雇用分野においても後期高齢者の医療費負担増やテレワーク勤務、ジョブ型雇用等の推進による新たな労働保護法制の改悪すら狙われている。

  こうした点を見ても、今国会は新型コロナ感染拡大の収束をはじめ、国民生活全体に関わる重要法案が審議されようとしており、さらに改憲にむけて、自民党による憲法審査会での改正国民投票法案の成立や改憲4項目の提示など執拗に狙ってくることが予想される。

 

3.菅政権は、9月の政権発足以来、「安倍政治継承」以上のその本質を露わにしている。特に、学術会議6氏の任命拒否問題をはじめ、安倍前首相の「桜を見る会」前夜祭での参加費補填問題、吉川元農水大臣の「政治とカネ」問題にみる自浄作用のなさや「GoToキャンペーン」など、経済活動優先により新型コロナ感染を急拡大させた上、後手後手のコロナ対策に国民の不満は鬱積し、噴出しはじめている。直近の世論調査では菅内閣の支持率は30%台に急落し、自民党支持層のなかでもこうした場当たり的な新型コロナ感染防止の対応に6割が「評価しない」と回答し、解散総選挙を睨み政局化の様相を呈しはじめている。

私たち「軍事費を削って、くらしと福祉・教育の充実を」国民大運動実行委員会は、定例国会行動を軸に、新型コロナ感染収束にむけた予算案の組み替えを強く求め、国会内外の共同のたたかいを強めていく。また、「デジタル化関連法案」をはじめ改憲、悪法阻止にむけて、あらゆる団体との共同のたたかいを強めていく。

  425日の衆院北海道2区補選と参院長野選挙区補選は今後の政局を大きく左右することが予想されており、野党統一候補勝利で菅政権を追い込み、来る解散総選挙での野党連合政権の実現に奮闘することをここに表明する。

 

 

以 上