2021年2月9日
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会 御中

    福岡県地域人権運動連合会
     女性部部長 川口伊智子

森喜朗氏の女性蔑視発言に抗議し、JOC組織委員会会長の即刻辞任とコロナ禍での東京五輪開催の中止を求めます
 
 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が2月3日、公開された日本オリンピック委員会の臨時評議員会で、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる。女性は競争意識が強い」など女性蔑視の発言をしたとのことです。
 この発言は、JOCが役員改選に向けて、まさに女性理事を増やそうと議題の一つにした、その公の会合で出たものです。その後、謝罪、撤回の記者会見を行いましたが、真摯な反省の姿勢は見えず、開き直りともいえる態度に終始していました。まさに不見識の極みです。
 森氏は以前にも、冬期五輪のフギャ―スケート競技で転倒した浅田真央選手に対して労いの言葉どころか「あの子はいつも肝心なところで転ぶ」と暴言を吐いています。私たちは、こうした女性蔑視、選手侮辱、差別発言をして顧みない森氏に強く抗議します。オリンピック精神に反する見解を有する森JOC組織委員会会長に対して、即刻、会長の辞任を求めると同時に、コロナ禍の終息が予測できない状況下で、国民の命と生活を犠牲にして、遮二無二、開催を強行しようとしている今夏の東京オリンピック開催の中止をもとめるものです。
 現在、JOC役員25人のうち女性はわずか5人です。JOCはスポーツ庁が定める競技団体の運営指針「ガバナンスコード」に沿って、女性理事を40%以上とする目標を掲げていますが、まだ実現にほど遠い状況です。
「オリンピック憲章」は、「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指す」「権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的…いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない」とうたっています。
 この精神に真っ向から反する発言をして恥じない森氏がJOC組織委員会会長にとどまるのでは、国内外の批判は収まることはないでしょう。
 オリンピズム(五輪精神)というのは、スポーツを通じて世界の平和や安定、あるいは差別を無くすことを目指しているものです。オリンピックムーブメント(五輪精神を広める運動)はこのオリンピズムを広げていく活動全般のことを指し、五輪憲章ではさまざまな活動を4年間かけて行うとされていますが、全世界がコロナ禍の今、五輪開催だけに固執するのは、オリンピズムあるいはオリンピックムーブメントにも反しています。JOCは即刻人事体制の一新と今夏の東京オリンピック開催の中止を決断すべきです。以上のことを人権連福岡県連女性部として申し入れるものです。