2007年12月6日
鳥取県知事
 平井 伸治 殿
全国地域人権運動総連合
 議 長  丹波 正史

鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例に関する申し入れ

 前略
 鳥取県人権救済条例見直し検討委員会(委員長・永山正男鳥取大教授)は、18回(最終会合10月18日)に及ぶ議論の結果をまとめ、11月2日知事に提出しました。
 意見書では、「人権問題を広く対象とし、かつ準司法的に取り扱う現条例は十分に機能せず、弊害も多く適切な運用が期待できない」と、事実上の廃止を指摘しています。


 私ども全国人権連は04年4月に、前身である全解連(全国部落解放運動連合会)が部落問題は社会問題として基本的に解決に至ったと立場から転換を図った組織です。
鳥取県条例については知事提案時代から、国政で廃案となった人権擁護法案以上に基本的人権を侵害しかねない重大な問題を内包しているとして、一貫して反対してきました。
  今回、見直し委員会が、有識者懇談会の議論を引き継いで多面的検討を緻密に行い、
凍結中の現行条例を事実上廃止すること、新たな条例パターンについても、留意事項を列記し、安易な制度の導入に歯止めをかけ、あらためて行政内外の意見を広く聞くことを提言したことの意義は大きいものがあります。
 「制度全体に係わる留意事項」として、▽救済の対象(人権侵害)を限定し明確に規定する▽既存制度との役割分担を考慮▽内心の自由の尊重▽公表、過料は副作用が大きい▽表現の自由の尊重▽家庭などの問題への行政介入は謙抑すべき▽経済的な自由等を尊重▽公権力による人権侵害は広く対象とすべき▽救済機関の公平性、独立性、専門性の最大限の確保▽和解や関係調整が基本的に望まれている▽相談機能、照会機能、施策提言機能の充実、そして「侵害類型ごとの留意事項」もまとめられています。
 しかし危惧するのは、(1)公務員による侵害に限定した人権救済条例(2)子どものための人権救済条例、に続いて(3)(特定の人権分野の特定の)差別行為に限定した差別禁止条例(私人による行為も対象)が示され、包括的差別禁止法を求める勢力の思惑を受け入れる余地を残したことです。意見書の内容を歪曲しないでいただきたい。 
また、「相談機能、紹介機能、施策提言機能を充実する」ことも示されましたが、現行の体制を効率的に強化しつつも、「同和」偏重を見直していただきたい。
 先ずは凍結状態の現行条例をきっぱりと廃止し、それから個々の提言内容を行政内で見直し委員会の委員等から意見も聞きながら方向性を示し、県民の意見を広く聞いて、真に県民が望む「人権擁護」の体制を構築していただきたい。