生活保護行政、今度は医薬品使用を理不尽に限定
厚生労働省をめぐっては、「年金問題」が大きな問題になっている中、4月1日からはじまった「後期高齢者医療制度」にかかわって各地で混乱をきたしているが、あまり知られていないものの、国民の医療や福祉にかかわってもう一つ同じように4月1日からはじまった問題を紹介しておきたい。
4月1日、厚生労働省社会・援護局の保護課長名による「生活保護の医療扶助における後発医薬品に関する取扱いについて」なるものが、各都道府県と政令指定都市などに通知された。
それによると、「生活保護」規定による受けられる医療の「基本原則」のなかで、今後は「後発医薬品を選択するよう求める」ことを規定している。
今後、生活保護法による医療を受けている患者が、後発医薬品を選択していない場合、当該福祉事務所は、以下の4段階で指導をするとしている。
①第1段階で処方医への理由確認と本人への口頭指導、
②第2段階で本人からの聴取、
③第3段階で文書による指導を行う、
④第4段階では生活保護の変更・停止・廃止を検討する
処方医が医学的な理由があると判断した場合は除くとしているが、生活保護による医療を受けている患者のみに対して、福祉事務所が薬剤使用の制限を強要することは、生活保護法第3条の「保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない」との規定を逸脱した「人権侵害」そのものである。
★厚生労働省のこの間のあり方を見ていると、あまりにも国民の生存権保障や労働権保障をないがしろにしたものだといわざるを得ない。全国人権連としては、まともな厚生労働行政に転換することを強く求めるものである。