『高等学校における中退に目を向けてみると、2007年度の滋賀県人権センターの「2006年度、高等学校における進路(進学・就労)状況調査(報告書)」によると、2006年度の地区生徒の中退率は5・1%であり、県全体の1・5%を大きく上回っており、まさに現在の課題として明らかになっています。』
これは、全国同和教育研究協議会(全同教)機関誌月刊「同和教育 であい」(08年6月号NO555)の「2008年度研究課題 3,部落問題の現状と課題」に掲載されているものです。事実、財団法人滋賀県人権センターの2007年度事業日程表には「5月上旬~6月下旬 高校における進路状況調査 県内全高等学校県内の県立、市立、私立77校 県内全高校における進路(就労)状況を調査・研究を行う」とあり、県及び各校の協力無しに把握できません。
しかし、どうやって「地区生徒」を把握するのでしょうか。
この記述には滋賀以外にも、「部落の子どもとすべての子どもの高校進学率の差は、2000年以前の約4・5ポイントから、約8・4ポイントに差が広がっている地域があります。(大阪府人権教育研究協議会 2005年3月卒業者進路実態調査および、2004年3月卒業者の追指導調査2005年度実施)」と大阪府の「調査」も取り上げています。
2002年3月末に「同和地区を取り巻く状況が大きく変化したこと等を踏まえ、国の特別対策はすべて終了」との「同和関係特別対策の終了に伴う総務大臣談話」が報道発表されています。しかも当時の総務庁地域改善対策室は「大規模な人口変動の状況下では、同和地区・同和関係者に対象を限定した施策を継続することは実務上困難」とまで述べて、各自治体を指導していました。
特に当時の文部省は、全解連(全国人権連の前身)の「調査」はプライバシーの侵害、特定困難、児童生徒の分断、社会的公益性がないとの追及に、97年12月の同和地区児童・生徒の「進学状況等調査」を、各都府県に照会できずにいるなか、文部大臣は98年11月参議院文教科学委員会で「変化をふまえ、(今年度以降の)調査の扱いについては検討する」旨、明らかにし、国レベルでの調査は中止され、以降各県段階にも広がったものです。
大阪では2006年一斉学力テストの実施に合わせ、旧同和校のみ、児童生徒番号と住所データをつけて府に提出し、府の人権室が持っている「旧同和地区」の住所データと突合し、「旧同和地区」の子どものデータだけ抜き出して比較調査するという許すことのできない行政による調査を秘密裏に実施しました。民主主義と人権を守る府民連合(民権連)は大教組とともに学力等実態把握(「同和秘密調査」)差止請求事件原告団として、この調査は、本人の同意もなしに住所データを提供・流用し、個人の人格権や自己情報のコントロール権、プライバシー権を侵害する違法性をもつものとして裁判を闘っています。
違法な個人情報収集は即刻やめるべきです。