障害者自立支援法の応益負担と後期高齢者医療制度の廃止を
年明けから、連続するタクシー強盗や窃盗事件、さらに放火など、暗い世情を反映しているかのような事件が相次いでいる。そんな中で、派遣切りにあった人たちを支援している年越し派遣村の取り組みに対して、政府高官のこころない言動を避難する世間からの集中砲火は、誰しも納得のいくところだろう。昨年の田母神発言といい、政治家や官僚と国民との意識や感覚のずれは、ちょっとした言葉の端々に如実に出てくるものだと、つくづく感じた。
ところで、今年3月には期間工、季節工の人たちの雇い止めがいっせいに始まるのではというのが大方の見方だ。ところが3月といえば、厚生労働省が補助金を企業に出して、昨年末、派遣切りにあった人たちの住居の確保をしている期間の終了する時期とも重なる。また、3月は高校や大学の新規卒業生も大量にでる時期なので、ここで就職できなかった新卒生たちの問題と合わせて考えると、このままの状況が続けば、雇用や住居をめぐって、いま以上に大変な状況になるだろう。
こんな状況の中で、障害者や高齢者に関する社会保障制度の見直しをつよく求める声が全国各地で巻き起こっている。障害者に関しては、自立支援法の特に「応益負担」を廃止してほしいというものである。支援法自体が以前の措置制度より悪くなったと批判されて久しいが、その中でも応益負担というのは、サービスを10万円使ったから1万円は自己負担しろというもので、充分な仕事の保障も収入の確保も困難な障害者にとっては大変な負担となっている。中でも重度障害者ほど、必要とするサービス量は多くなり負担が重くのしかかっている。
高齢者にとっても後期高齢者医療制度は、すぐにでも廃止してほしいと切実な声をあげている。政府は、いま社会保障全体を見直した上で、国民の声を反映させるべきである。年金や医療など社会保障の財源を口にするとき、政治家たちは、きまって消費税増税しかないといい、共産党を除いてほとんどどこの政党も政治アナリストも大企業の法人税をもとにもどすことも、諸外国の先進国の状況も口にしない。
国民の多くが税制度の仕組みや社会保障や教育などに関して、諸外国と日本の違いをあまりよく理解していないのがその根底にあるように思える。私たちはやがて誰もが高齢者となる。また、交通事故や様々な事故や病気で、いつ誰が障害者になるか予測がつかない。ゆえにこの2つの制度は廃止を求める声をもっと大きくしていくことが重要だと思う。