「子どもを預けて働きたい」という母親の急増に政府はどう応える
「子どもを預けて働きたい」という母親が全国的に増加しているという。しかし、これは言い方が間違っている。”働きたい”のではなく、”働かなくては生活できない”というのが現実的で、ほぼ間違いの無いところだろう。背景にこれまでの貧困問題に追い討ちをかけるように始まった大企業の派遣・期間工といった非正規労働者の切り捨て問題があることは誰の目にも明白なところ。やっと合計特殊出生率が少し上向いてきたところだったのだが、またもや大変な状態になりつつある。
厚生労働省によると、全国的に保育所への入所を待つ子供(待機児童数)は、平成15年から4年間は減少し続けていたが、20年は再び増加に転じ1万9550人となったことが明らかになった。首都圏、近畿圏や政令市など、都市部が全体の78%を占めているという。厚労省では「景気の影響で今年はさらに増える可能性が高い」と見通しを話す。
政府自公政権は、「20年度補正予算」で1000億円の対策基金設置費を計上。今後3年間で15万人分の受け入れ枠を創出することにしているというが、3年も待っていては、どうやって生活すればよいのかと不満の声も多い。安心して結婚し、子どもを生み育てるための総合的政策が財界の意に沿わないとして放置されたまま今日を迎えたことが最大の問題ではなかったか。
「すぐにでも預けたい」という親たちの要請に応じきれないのが現実だが、収入も少なく、いつクビになるかといった不安の中で、いま子育てがはじまっている。