拡大する一方の解雇の現実
少子高齢化に歯止めをかけ、女性が働きやすい環境が少しずつ整備されてきたなかでおきた昨年からの派遣切り問題。派遣という働き方の問題点は、政界が財界の意向を受け、専門性が高く限定的な職種に限定されていた「労働者派遣」を製造業を含めて原則なんでもありへと解禁したことにより、正規雇用から非正規雇用への大量置換えが可能になった。
特にいまの派遣は、労働力を商品としか見ない。15年前の就職氷河期に就職できなかった人たちはいま中高年となっている。その中高年世代と住宅ローンや育児・家計の不足分を補うために働き出した女性たちを直撃している労働者の相次ぐ解雇。
派遣労働者は、「雇用の調整弁」的な役割をもつことが以前から指摘てきたが、ここにきて、新日本婦人の会や各地の労働組合などに女性からの訴え・相談が殺到しはじめている。
「出産したら戻ってこなくてよい」と妊娠・出産・育児休暇中の女性たちを「物」扱いする職場が急増している。男性にも認められている育児休暇制度だが、今回の派遣切りを境に男性も女性も休暇が取りにくくなっている。こういった事態が長期化することになれば、結果的に少子高齢化に拍車をかけることになるだろう。
人口減少期に突入しつつある我が国で、働いても賃金が少なく、子どもも生み育てられない環境をつくる企業。その企業がつくった商品を買うのも圧倒的多数は、”労働者”なのだが、企業側は、自らの手で自らの首を絞める経営戦略を見直そうとはしない。経済同友会終身幹事の品川正治さんが言っているように企業経営者はもっと自社の労働者を大切にすべきだし、社会への貢献も忘れてはならない。作った製品・商品を買ってくれる人たち(労働者・勤労国民)の家計が大変な状態に陥っているのは、政治と財界のゆがんだ価値観に原因がある。
拡大する一方の解雇の現実は、我が国の将来的な人口減少に一層の拍車をかけている。法律違反の”産休切り””育休切り”は、深刻な問題に発展しつつある。あなたの周りにこんなことはありませんか。