民主党の「事業仕訳」を見ていた国民の多くが「こんなに無駄があるのか」「こんな事業があったのか」という感想をもったとマスコミが報道していたのを思い出しながら、事前にデータ把握をしていたとはいえ、1事業を1時間程度のスピードで「廃止」「縮小・継続」などを言い渡す光景はさながらドラマをみているかのような印象。科学や医療分野の基礎的研究費まで削減することへの心配も多い。事業仕訳で廃止と判断されたから即廃止ということではないようだが、本来、事業仕訳の対象となるべき法人税大減税や米軍への思いやり予算やグアム移転費の3兆円問題などは最初から対象ともされていない。事業仕訳チームの限界はここにみえた気がする。

政治主導と銘打った「官僚の国会答弁の禁止」。確かに政治家が本来自分の言葉で国会で答弁すべき内容が多いことは事実だろう。それを官僚にまかせっきりだったことが、問題だったことは理解できる。しかし、内閣法制局長官を政府保佐人からはずして国会答弁を行わせないとする民主党の小沢幹事長の思惑は、「政治主導だから」という内容ではないように思える。憲法改正を党是としてきた自民党政権時代でさえ、集団的自衛権の行使についてはかなり慎重に答弁してきた経緯がある。法的問題も含むことから内閣法制局長官の意見が国会で重要視されてきたからだ。

しかし、今回の政治主導でこの部分もはずし、「集団的自衛権問題も民主党政権主導で」というのは、かなり乱暴な動きと見える。また、国内的には「人権救済法案」のこともあり、なにかと注意してみていかなくてはならない。