全国人権連事務局長 新井直樹
                                                                               
 7月11日に投開票された参議院選挙で、民主党の44 議席(10 議席減)に対して、自民が51 議席(13 議席増)、みんなの党が11 議席(10 議席増) などとなり、非改選議席を含めた与党は109議席へと過半数(121議席)を大きく割り込んだ。
 こうした結果は、昨年夏の総選挙で政権を取りながら、平和とくらしの要の問題で国民を裏切り続けてきた民主党への批判の表れであり、衆議院と参議院で多数派が異なる「ねじれ」状態が生じ、政局が不安定になり易い政治状況を作り出すこととなった。
 今回前進した自民・みんなの党などは、憲法改悪・「構造改革」路線の推進勢力であり、今後の政策動向が平和・くらし破壊の方向に向き、政治が後退しかねないことから、切実な要求を掲げた地域住民運動の強化、国民いじめの悪政に反対する共同の取り組みを前進させることが、地域人権運動にとって、より重要になったことを示している。
 消費税率引き上げ反対、大企業優遇税制是正などの税制改革を求めるたたかいは引き続き強化が求められる。
 とりわけ、参議院選挙を通じて強まった国会議員の比例定数削減や、国民サービス切り捨てや公務リストラなどの「小さな政府」づくり、「地域主権」の名による地域間格差の拡大、沖縄県名護市・辺野古沖での基地建設、人権侵害救済と称しての大企業免罪・言論表現規制などが、国民不在で強引に進められることのないよう厳しく対処したい。
 地域社会の貧困と格差はますます深刻化し、地域経済は悪化し続けている。それらの改善のためには、憲法を擁護し人権確立を掲げる政治勢力が国政での比重を高める必要がある。
 全国人権連は、国民の運動と世論が政治を動かすことに確信を深め、政治の後退を許さず、憲法が暮らしに活きる政治、地域社会に人権が根付く政治の実現をめざして、国民共同のたたかいに全力をあげる。
                                                                2010年7月12日