7/11投開票の参議院選挙で大きく後退した民主党、中でも法務大臣の現職の座にあった千葉氏が落選というのは、民主党としても考えてもみなかったことだろう。その千葉氏は、国会議員の任期切れ後も法務大臣のポストのままというになったのだが、本日付けの全国紙や主要地方紙は、「千葉法務大臣が死刑執行、しかも異例の立会」と報じた。

千葉氏は、法務大臣に就任したものの、元来、死刑執行に反対する議員連盟に所属して、憲法第36条に謳われている「残虐な刑の執行」としての「死刑執行」には反対の立場をとってきたことで有名だ。今回執行されたのは2人。最高裁は、死刑執行についてすでに「合憲」との判断を下していることから、「絞首刑」などは残虐な刑ではないとの判断が刑法上まかりとおっているのが現実。

新聞各紙とも、日弁連の宇都宮会長や東京都弁護士会などのコメントを並列掲載して、今回の死刑執行を取り上げ、参議院選挙で負けたこの時期になぜ、執行なのか、民主党政権の思惑なども織り込みながらの報道となった。

同時に、今回の死刑執行は裁判員制度がはじまった中で、はじめてのケースとなった。今後、裁判員裁判でも死刑判決が出る可能性も否定できない状況にあり、その際、「足利事件」のような冤罪による死刑執行が行われた場合、誰が責任を負うのか。どのような責任の取り方ができるのか真剣に議論をつくさなければならない時代にきている。

それにしても、一体なぜこの時期なのだろうか。議員任期ぎりぎりだというが、不可解な死刑執行の感が拭えない。