新たな年のはじまり。東日本大震災、大津波、原発事故などをにより、全国各地に散らばって生活を余儀なくされている家族の方々など、これからも支援の輪が重要なことは言うまでもないが、何より国に対して「もっと迅速に」と望む声に政権がどう応えるかが問われている。

こうした国民の声とは別に、野田政権が年末に打ち出したのは、公約破りの「消費税増税」計画。マニフェストに掲げた公約は、白紙撤回が多くめだち、公約に掲げず、4年間は増税しないとしてきた「消費税」増税については、「まったなし、不退転の決意で臨む」「後は、野党協議で」と野田総理の弁を国民の多くはどうとらえただろう。マスコミで消費税とセット的に扱われる議員定数削減と公務員給与の削減問題。しかし、消費税議論に必要なのは、いかに低所得者に負担の重い逆進性の税制を改善していくかという点と、大企業・大金持ち、株式売買で高い収入を得ている富裕層に社会的貢献をさせる税制の仕組みづくりをどうつくり上げていくかということではないのだろうか。

昨年、ヨーロッパ、アメリカなどで広がった若者たちをはじめとした大規模なデモの参加者は、口々に「就職難と低収入で生活できない世界的な今日の「所得格差」が問題だ」「政府は、現実をわかっていない」と避難しつづけている。

富の再分配がきちんとされず、働く者が報われない社会、社会的弱者が取り残される社会、こうした社会のひずみが、世界的に問題になっている。フランスなど一部ヨーロッパ諸国では、大金持ちが新聞紙上で「私たちから税をとってくれ」と大広告をした。彼らは、国民のエネルギーが国を変え、歴史を変えてきたことを知っているからこそ、そうした広告を出したと言われている。日本では、こうした声は聞かれない。日本の財界人は、むしろ、「もっと税金をまけろ」といっている。

2012年、新たな年の幕開けは、昨年の東日本大震災、津波、原発事故等で改めて見直された「人と人とのつながり・絆」をより一層深め、何が大切なのか「価値観」の大転換を更に国民共通のものにしていく、その第1歩になればと願ってやまない。