国民救援会の機関紙「救援新聞」5月25日号によると、 厚生労働省は3月1日「生活保護」関係課長会議を招集、すでにいくつかの自治体ではじまっていた福祉の窓口に警察官OBを配置している実態を更に拡大するために、全国各地の社会福祉事務所に「警察官OBを積極的に配置することを検討するよう」指示。-こんな記事がでていました-

これを受けて全国的に福祉に関する実務能力も経験もない元警察官が生活保護申請者にアドバイスをするということなのだが。職務内容は、不正受給の予防とアドバイスだというのだが、元警察官で公務員だったとはいえ、そもそも社会福祉のイロハもわからないずぶの素人に何がアドバイスできるのか疑問。まして後述する大阪や横浜の記事を読むと、なんとも。

不正受給・暴力団関係者を見抜くことが目的で、警察官OBが配置されているのは既に全国74自治体116人にのぼり、そのための人件費はすべて厚生労働省が補助しているということなのだが、本来、福祉事務所では1人のケースワーカーが100人以上のケースを担当している実態もあり、そうした過度の負担を改善するために、専門職のケースワーカーを大幅に増員させて、きめ細やかな対応を取らせるべきだと生活保護とその実務に詳しい生健会の担当者はいいます。

生活保護の「不正受給」とみなされるケースの多くに高校生の子どもたちのアルバイトで得たお金が収入として認定されることなどについて知らなかったケースも多いといわれています。これもケースワーカーの不足だとの指摘も。厚生労働省が予算化すべきはケースワーカーの増員ではないのか。

★なんとなく、思い出される「闇の北九州方式」

過去、「闇の北九州方式」として問題になった生活保護申請をめぐる北九州市福祉事務所と厚生労働省の保護申請をさせない水際作戦で多くの人命が失われた事件をめぐって、新聞紙上やテレビ等でもいろいろ問題になったことがありますが、いままさに警察官OBを配置することで、新たな申請させない仕組みづくりが活発化しているとも見受けられる。

★救援新聞には、以下のような内容も 

大阪府の豊中市福祉事務所では、生活保護費の支給が遅れていたことについて抗議した受給者に対して、配置されていた警察官OBが「虫けら」等と暴言をはき、相談を受けた大阪弁護士会が2度と同様の人格侵害が起きないように勧告を行っています。

神奈川県横浜市では、野宿生活者が襲撃されて警察に相談に行ったところ「外で寝ているお前たちが悪い」と追い返したいいいます。こんな警察官のOBが福祉事務所に配置されたら、野宿者でなくても福祉へ相談するのは「ちょっと」。

結局のところ、

厚生労働省の最終目標は結局「水際作戦」にあるようにしか見えません。生活保護申請者、受給者、それにケースワーカーへの監視もあるというが、「水際作戦」の見返りに、なんとなく警察官OBの天下り先として新たに福祉事務所がターゲットとなったのかともみれなくもない。