2007年4月26日
総務省統計局あて
             全国地域人権運動総連合
                事務局長 新井直樹

 総務省は、和歌山県が行おうとしている人権課題「調査」に関わり、和歌山県人権施策審議会や県民の意向を尊重し、国勢調査のデータ提供をしないでいただきたい。

1,和歌山県による同和現況「調査」は、そもそも昨年3月県人権施策審議会で 「同和問題の解決に逆行する」等と否決されている(「毎日」「小委員会報告」)。

2,07年度予算で旧同和地区内外の「較差」を明らかにする目的で行う「調査」 に対し、県審議会軽視と県内外から批判がでている(和歌山民報、和歌山人権連申し入れ、「国民融合」記事参照)。

3,私たちは国勢調査の意義を認めつつも、自治体が目的と方法に社会的妥当性を欠き、新たな人権侵害を生みかねない、旧同和地区内外の「調査」に国勢調査のデータを利用することを総務省統計局が容認した場合、全国の自治体での混乱など及ぼす影響は計り知れず、しかも今後国勢調査への協力を拒否する国民が多数生まれかねず、正確な統計が得られなくなることを危惧する。

4,本来2002年3月末で同和の特別法が失効した際の「大臣談話」(別紙参照)で、かつての同和地区や地区住民の個人情報破棄を全ての自治体に要請すべきであった(この点は全国人権連の前身である全国部落解放運動連合会が強く地域改善対策室に要求していた)。行政が保持してきた旧同和地区情報は破棄すべきであり、旧同和地区の所在情報を活用することは個人情報保護に反する流出にあたり、自治体の責任が問われるものと理解する。

5,よって総務省は、県民が疑義を提示し、しかも基本的人権の侵害という違憲の疑いのある和歌山県による「調査」に、国勢調査のデータが利用されることの無いよう、以前の使用許可撤回と今後の利用申請を不承認していただきたい。