福岡県教委が県同教(福岡県人権・同和教育研究協議会)など民間団体役員の教諭を同団体の運営などの目的で県立高校に枠外で配当し、頻繁に出張を容認したことは違法として、当該教諭や県教委部・課長ら7人に総額314万円の返還をもとめた一審判決を不服として控訴した「同和教育ヤミ専従糾明裁判」控訴審の第6回口頭弁論が、4月23日午後に福岡高裁501法廷(牧弘二裁判長)で開かれ、控訴人(福岡県教委)側申請の証人2人に対する主尋問と反対尋問が行われました。
 この日の証人調べは菱山謙二筑波大教授と杉光誠県教育企画部長。
 菱山証人は県側の主尋問に「同和特別対策が終結したことを同和問題が解決した、同和行政は終わったと勘違いしている人や行政があるが間違い。同和問題は30年前よりは解決しているが、心理差別や偏見がまだ十分(解決した)とはいえない。結婚をめぐる差別で1~2年に1回程度、私のところに救済をもとめる相談がある」と涙声のパフォーマンス。
 「同和教育は必要で、県同教、全同教は公益上の必要性はある」と立て板に水の証言。
原告側の反対尋問で、「確認・糾弾は教育的配慮の上で、必要に応じてやるべき」と容認。八鹿高校事件では「詳しいことは知らないが、あのようなことはまずい。教育現場で暴力はあってはならない」ととぼけました。
 部落排外主義の朝田理論で部落問題は解決するのかとの尋問に「朝田テーゼは今では通用しない」と述べ、被告・小西清則全同教委員長(当時)の福岡県同教への11年間の長期派遣を「必要上、おかしくない」と擁護。  
狭山教育については「参加していないのでわからない。節目教育は知らない。狭山ワッペン、ゼッケン登校は、時代の要請、時の状況があった。妥当かどうかは別問題。行き過ぎがあれば反省して」とのらりくらり。
 原告側の狭山事件を差別裁判と断じて公教育で教えることが許されるのかとの追及尋問に「微妙だが、そういう教育もありえる」と肯定、文科省や県教委の方針を否定、裁判所も顔色を変え、傍聴席はどよめきました。
 杉光証人の反対尋問で原告代理人が、小西教諭を11年ぶりに小倉商業に戻すときの定数加配事由に「県同教、高同教の副会長、全同教委員長としての小西教諭の業務を支援する」と県側の文書を示し「役員としての業務支援では」とただしたのに、同証人は「情報の収集」。役員業務と情報収集の違いは「予算、決算事務が主たる役員業務」と証言。
 別の代理人が県側文書を示し「情報収集として、全同教事務所が訪問先で会計監査になっているが何の情報収集か」とたたみかけると、同証人は「それは小西さんに聞いてみないと分からない」に傍聴席がわきました。