神谷宗幣参政党代表に抗議文 治安維持法国賠同盟
2025年7月14日
治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟 中央本部
参政党代表 神谷宗幣 様
抗議文
貴職が2025年7月12日、鹿児島市内での街頭演説において、かつての「治安維持法」について、「悪法、悪法だっていうが、それは共産主義者にとって悪法でしょうね。共産主義を取り締まるものですから」などと述べたと、13日付のしんぶん「赤旗」に報道されています。この発言は「治安維持法は共産主義者を取り締まるもの」「共産主義者の取り締まりなら構わない」とする露骨な反共主義、反民主主義をさらけだすものです。私たち治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟中央本部は、国民弾圧の悪法である治安維持法を擁護したこうした発言に断固抗議するとともにその発言の撤回を要求するものです。
そもそも治安維持法は、戦前の日本において、天皇を中心とした国家体制、いわゆる「国体」の変革を掲げた結社を極悪犯罪組織、構成員を極悪犯罪人とし、最高刑で死刑を科すなど、思想信条の自由を根底から否定する弾圧立法でした。この法律のもとで、天皇制打倒・国民主権・侵略戦争反対を掲げた日本共産党は最大の弾圧対象とされ、さらに共産党員以外の数多くの労働者・市民・知識人・宗教関係者らが、特高警察による監視・逮捕・拷問・殺害を受けるなど、過酷な迫害を受け、その数は数10万人にものぼるとまで言われています。
戦後、日本国憲法の制定により、国民主権・基本的人権の尊重・思想信条の自由が保障され、治安維持法は廃止されました。この歴史的事実は、二度と戦争と弾圧の時代を繰り返さないための日本社会の根本的合意であり、民主主義の礎です。
そのような歴史的経緯を無視し、治安維持法の弾圧的性格を軽視し、むしろ正当化するかのような貴職の発言は、民主主義と人権尊重という現代日本の根幹を否定する極めて危険な暴論であり、到底看過することはできません。
しかも、貴職が代表をされている参政党の憲法草案には冒頭で「日本は天皇主権国家である」と宣言しています。現憲法を真っ向から否定し、戦後民主主義を否定する参政党と貴職の主張は公党の発言や発信としてその社会的影響は極めて大きいものがあります。国政選挙が行われているこの時期に、歴史を捻じ曲げ、暴政を容認するかのような言動を繰り返し行うことは、極めて不適切であり、政治的責任が厳しく問われるべきです。
よって私たちは、貴殿に対し断固たる抗議の意をここに表明し、その撤回を強く要求いたします。
以上