25年7月

25年7月24日 木曜日

(談話)第27回参議院選挙の結果と今後の運動

(談話)第27回参議院選挙の結果と今後の運動

2025年7月24日
全国地域人権運動総連合事務局長 新井直樹
7月20日の参議院選挙の結果、昨年秋の衆議院選に続き、国民は自公政権に対して厳しい審判を下しました。自民党は改選前の114議席から101議席に減少し、与党全体では122議席となりました。一方、非改選と合わせ立憲民主党は38議席で現状維持、国民民主党17増で22議席、参政党は14増で15議席となり、野党勢力は合計で126議席となり、与党を上回る結果となりました。
特に注目すべきは、立憲各野党(立憲民主党・日本共産党・社会民主党・沖縄の風)が32の1人区のうち17選挙区で「野党共闘」を実現し、自民党を14勝18敗にまで追い詰めた点です(前回は自民党28勝)。この選挙結果は、自公政権に対する国民の厳しい不信任の現れであり、国民生活に背を向け、裏金政治を温存し続けた政権に対して、明確なNOを突きつけたもので、大きな成果と言えます。
しかし、自公政権の凋落が必ずしも立憲主義の復活を意味するわけではありません。今回、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」が呼びかけた立憲各野党は、いずれも伸び悩み、共産党は4議席減らしました。
「市民連合」は総括で、戦後民主主義や「リベラル」な市民的価値を公然と否定する政党が台頭し、メディアを席巻したことを指摘しています。昨年のアメリカ大統領選と同様に、社会の矛盾や不安が与野党を問わず「既存の政治」全体に忌避となって向けられ、「新しい何か」を求める世論の一部が、平和主義や立憲主義ではなく、むしろナショナリズムや排外主義に流れ込んだ結果です。このような世界的なファシズム化の潮流の中で、日本政治も今後、この問題に本格的に向き合っていかざるを得ません。
全国人権連は、このような排外主義や極右的潮流の台頭を直視し、社会の分断や対立を煽る動きに対抗していきます。「地域人権憲章」を羅針盤に、個人の尊厳を守り、平和、人権と民主主義、住民自治の前進を目指し、地域人権確立の運動に引き続き取り組んでいく所存です。

25年7月18日 金曜日

第18回地域人権問題全国研究集会 (島根県松江市10月9-10日)について

チラシ表

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チラシ裏

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25年7月17日 木曜日

参議院選挙にみられる排外主義の拡大に反対する声明 自由法曹団

参議院選挙にみられる排外主義の拡大に反対する声明

外国人や外国にルーツを持つ人々に対して敵対的な態度をとり、その人々を排除しようとする排外主義が世界中で急速に広がっている。トランプ米大統領は移民やムスリムの排斥をことさらに喧伝し、欧州ではフランス、ドイツ、イギリスなどで反移民を掲げる極右ポピュリスト政党の台頭が著しい。

日本においても同様の傾向が急速に広がっており、「外国人は生活保護を受けやすい」「外国人が増えて治安が悪化している」といった外国人への不満や不安を煽る言説がネットを中心に横行し、NHKが本年6月に実施した調査では、「日本社会では外国人が必要以上に優遇されている」という質問に「強くそう思う」か「どちらかといえばそう思う」と答えた人は64%に及ぶ。

そうした中で、本年7月3日に公示された2025年参議院議員選挙における政党の外国人政策や街頭等での選挙民への訴えが排外主義キャンペーンともいえる危機的な状況となっている。

政権与党のみならず、日本維新の会、国民民主党、日本保守党、参政党などが、外国人の存在を警戒し、排斥する方向での政策の提言を競い合うような事態が生じている。自民党は、「違法外国人ゼロ」に向けた取り組みを加速すると訴え、公明党も「不法滞在者ゼロ」を訴える。日本維新の会は、外国人比率の上昇抑制などを含めた人口戦略の策定を謳い、国民民主党も「外国人への行きすぎた優遇の是正」として外国人への社会保険の運用見直しを掲げて、日本保守党も移民政策の是正、出入国管理及び難民認定法の改正と運用の「厳正化」を唱えている。新興政党である参政党は「日本人ファースト」のキャッチフレーズを掲げ、外国人労働者の流入規制や在留外国人の規制の必要性を訴え、支持を広げている。

しかも、選挙運動においては、候補者や政治家がこれらの政策を訴える中で、外国人に対する過度な優遇がある、外国人労働者の流入が原因で日本人の賃金が上がらない、外国人労働者が仕事を失って窃盗や違法薬物の取引を行い、日本の治安を悪化させる等といった虚偽の情報に基づく演説を堂々と行っている現状がある。

排外主義は、外国人や外国ルーツの人々を貶め、その尊厳を侵し、外国人に対する偏見と差別を助長するものであることはもちろん、異なる国籍や民族間の対立を煽り、共生社会を破壊するものである。そうした排外主義がもたらす社会の分断は戦争への地ならしとなりうる極めて危険なものであり、断じて許してはならない。

そもそも外国人が日本において優遇されている事実はない。外国人には選挙権はなく、生活保護の対象も「国民」であり、行政措置として国民に準じて保護を行うとしているだけであり、外国人の増加と治安の悪化に関連性は認められていない。日本政府は、1979年に批准した国際人権規約のもと、「内外人平等」の原則に立って「国籍の別なく、所要の負担の元に、国民と同様の社会保障の実施」に務めると国連に報告しているにもかかわらず、医療、年金、国民健康保険、奨学金制度なども十分ではなく、到底、優遇といえる実態はない。

参議院選挙における排外主義キャンペーンは、「雇用が不安定だ」「生活が苦しい」「負担が重い」「将来に不安を感じている」という国民の不満のはけ口として外国人を利用し、国民の目を逸らそうとするものである。こうした不満が生まれる背景には、賃金の停滞や目減り、物価の高騰、米不足、社会保障の弱体化等による国民生活の圧迫と困窮があるが、こうした国民の圧迫と困窮を生み出した元凶は、国民生活より大企業を優先し、アメリカいいなりに大軍拡を押し進めてきた政治にあるのであって、これを推進してきた自公政権やこれに追随してきた政党や政治家こそが批判されるべきである。

自由法曹団は、排外主義の拡大に強く反対し、選挙を含めいかなる場合であっても排外主義的な言動が許されないことを訴える。そして、国籍に関わりなく、誰もが個人としての尊厳を尊重され、差別されることなく、平和に暮らせる共生社会を実現するため、全ての人々が連帯して日本社会を取り巻く問題解決に取り組むことができるよう、力を尽くす決意である。

2025年7月14日

自 由 法 曹 団
団長 岩田研二郎

25年7月17日 木曜日

神谷宗幣参政党代表に抗議文 治安維持法国賠同盟

2025714

治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟 中央本部

参政党代表 神谷宗幣 様

抗議文

 貴職が2025712日、鹿児島市内での街頭演説において、かつての「治安維持法」について、「悪法、悪法だっていうが、それは共産主義者にとって悪法でしょうね。共産主義を取り締まるものですから」などと述べたと、13日付のしんぶん「赤旗」に報道されています。この発言は「治安維持法は共産主義者を取り締まるもの」「共産主義者の取り締まりなら構わない」とする露骨な反共主義、反民主主義をさらけだすものです。私たち治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟中央本部は、国民弾圧の悪法である治安維持法を擁護したこうした発言に断固抗議するとともにその発言の撤回を要求するものです。

そもそも治安維持法は、戦前の日本において、天皇を中心とした国家体制、いわゆる「国体」の変革を掲げた結社を極悪犯罪組織、構成員を極悪犯罪人とし、最高刑で死刑を科すなど、思想信条の自由を根底から否定する弾圧立法でした。この法律のもとで、天皇制打倒・国民主権・侵略戦争反対を掲げた日本共産党は最大の弾圧対象とされ、さらに共産党員以外の数多くの労働者・市民・知識人・宗教関係者らが、特高警察による監視・逮捕・拷問・殺害を受けるなど、過酷な迫害を受け、その数は数10万人にものぼるとまで言われています。

戦後、日本国憲法の制定により、国民主権・基本的人権の尊重・思想信条の自由が保障され、治安維持法は廃止されました。この歴史的事実は、二度と戦争と弾圧の時代を繰り返さないための日本社会の根本的合意であり、民主主義の礎です。

そのような歴史的経緯を無視し、治安維持法の弾圧的性格を軽視し、むしろ正当化するかのような貴職の発言は、民主主義と人権尊重という現代日本の根幹を否定する極めて危険な暴論であり、到底看過することはできません。

しかも、貴職が代表をされている参政党の憲法草案には冒頭で「日本は天皇主権国家である」と宣言しています。現憲法を真っ向から否定し、戦後民主主義を否定する参政党と貴職の主張は公党の発言や発信としてその社会的影響は極めて大きいものがあります。国政選挙が行われているこの時期に、歴史を捻じ曲げ、暴政を容認するかのような言動を繰り返し行うことは、極めて不適切であり、政治的責任が厳しく問われるべきです。

よって私たちは、貴殿に対し断固たる抗議の意をここに表明し、その撤回を強く要求いたします。

以上