自民調査会 法相「白紙から議論」人権擁護法案
今後毎週続くであろう(今のところ)自民党の人権問題等調査会。13日の意見では、そもそも論がまたも出たようだが、法務省が論点整理したものを次回提起することになったようだ。「白紙から」に矛盾すると思うのだが。古賀、二階氏ら幹部は欠席の会合。様子見、「ガス抜き」とも評される。
前回の05年時、法務部会との合同会合で、強引に「古賀会長一任」騒動が引き起こされたが、部会長は了承せず、しかし、総務、政調レベルの政治決着へ持ち込まれた経緯がある。
自民内の異論派は、こうした手法を警戒し、最後まで会合に残ったようだ。前回の会合で二階氏が「多数決」発言を行っていたからだ。
05年10月に「人権擁護法案の再提案反対・廃案に向けた闘いの到達と課題」を新井名で整理したが、「白紙から」ならあらためて「調査検討会」的な組織を法務省内に設けるしか、省は動けないのではないか。(国民の声を集約するところもないのだから)
自民がどのような意見の決着をはかるか、拙速をいましめる諸行動を展開してゆくものです。
http://homepage3.nifty.com/na-page/17-68.html
http://homepage3.nifty.com/na-page/17-70.html
人権擁護法案:自民調査会、再提出へ向け議論
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080214k0000m010082000c.html
自民党の人権問題等調査会(会長・太田誠一元総務庁長官)は13日、いったん廃案となった人権擁護法案の今国会への再提出に向けた議論を再開した。古賀誠選対委員長ら推進派は、旧法案を修正してでも提出に持ち込む構え。しかし、反対派も譲歩の様子はなく、党内の路線対立の火だねとなっている。
「以前検討した法案をそのまま提出するわけではない。トゲがあるならどんどん抜いてもらい、政府提出にしたい」
鳩山邦夫法相は調査会でこう力説した。
しかし、反対派は「強行突破するつもりか」(萩生田光一衆院議員)などの発言が相次ぎ、太田氏は「党内の意見を踏まえて法律にしたい」と釈明に追われた。
自民党・人権問題調査会は法案反対派が押していたけれど…
http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/481962/
2008/02/14
会合に各紙がどういう見出しをつけたかというと、産経は「人権法案 自由に議論 自民調査会 修正し『今国会提出』」と書き、太田氏や鳩山邦夫法相の意向はこうであるという点を見出しにしています。日経は直截に「慎重意見が続出 自民調査会 再検討が本格化」、読売はもっとストレートに「人権法案の反対論噴出 自民の保守派議員中心に」と分かりやすいですね。朝日も「人権擁護法案 不要論が続出 自民、論点整理」と書いています。毎日は「再提出向け議論 自民調査会 党内対立の火種に」、東京は「人権擁護法案 揺れる自民 議論再開も異論噴出」と政局チックに取り上げています。
毎日新聞 2008年2月14日http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20080214k0000m070140000c.html
社説:人権擁護法案 公権力の侵害救済策が先だ
すっかりしまい込まれていたはずの法案が再び息を吹き返すのだろうか。人権擁護法案のことである。
メディア規制条項などが批判を浴びて一度は廃案になり、さらに国会再提出の動きも封じられたにもかかわらず、またもや今国会への再提出を目指すという。自民党の人権問題等調査会が13日、党内調整に向け本格的な議論を始めた。鳩山邦夫法相は「白紙から出直したい」と意欲を見せ、党の議論を踏まえて法務省が法案を作り直す意向を示した。
それでも過去の法案がベースになるのは間違いないだろう。私たちはこれまで、法案が想定する「人権」の範囲があいまいで拡大解釈される恐れがあり、とりわけメディアを規制対象とすることは表現・報道の自由を著しく制約するとして反対してきた。そうした欠陥が放置されたままでは、新たな法案ができても到底容認するわけにはいかない。
そもそもこの法案が作られたのは、国連の規約人権委員会が98年、日本政府に、刑務所などでの公権力による人権侵害を懸念し、独立した人権救済機関の創設を勧告したのがきっかけだ。
このため独立行政機関として人権委員会を設置するのが法案の柱になったが、事もあろうに人権委を刑務所などを所管する法務省の外局に置くとした。法務省人権擁護局の職員を人権委の事務局に充てようという思惑だが、これでは身内の人権侵害に十分対応できるのか、大いに疑問がある。
また公権力による人権侵害の救済が主眼のはずなのに、法案は報道機関の取材・報道による人権侵害も同列に救済対象とし、人権委の調査を可能にした。これを許せば取材・報道への威圧となり、特に政治家や公務員の不正を暴く調査報道には打撃となりかねない。
最初の法案は03年に廃案になり、05年に修正が加えられたが、国会提出は見送られた。各地に置く人権擁護委員に国籍条項がなく、北朝鮮などの外国人も委員になる可能性があるなどと自民党保守系議員が反対したためだ。メディア規制条項は残したまま凍結とし、凍結解除には新たな法律を要するとしたが、姑息(こそく)な手段だと反発を招いた。規制しようとの狙いに変わりはなく、全面削除が不可欠だ。
さまざまな論点で批判の多い法案である。なぜ法案が必要とされたのか、今後はその原点に立ち返った議論を求めたい。何よりも公権力による人権侵害をいかに救済するかを最優先する必要がある。
法務省によると、06年に法務局などが人権侵害調査を開始した総件数は2万1000件余で、そのうち報道関係が9件に対し、公務員関係は2289件に上り、公権力による人権侵害がいかに多いかを物語る。しかし、刑事事件に発展するごくわずかを除き、救済が一向に図られない現状を関係者は認識すべきだ。