格差の広がりとともに「貧困」が社会問題化していることは、これまでにも紹介してきたが、今回は、東京を中心に「あしなが育英会」などのアンケート結果から見えてきた母子家庭の困窮の実態について考えてみたい。
アンケートによると、父親を不慮の事故や自殺などで失った遺児の母子家庭のうち、母親の3割以上が病気に苦しみ、就業中の母親の約55%がパートやアルバイトなどの不安定な雇用状態であることが判明。一般女性の平均勤労月収(ボーナスを除く)は、242,000円であることを念頭に以下の数字を見てほしい。

《回答した母親の平均年齢は46.7歳。1ヶ月の平均支出金額は207,000円》
・就業中の母親の月収は平均約168,600円。
・パート・アルバイトといった不安定な就労形態にある母親の月収は99,000円。
・失業給付などでの平均収入は約130,000円。
★毎月の赤字は、最低でも50,000円以上となる。

最近の物価高騰に対しては、就業中の母親の計84%が「とても苦しくなった」「苦しくなった」と回答。「求職中」「無職」を含め8割前後が困窮ぶりを訴えている。
1998年調査での遺児の母子家庭の勤労年収は約200万円だったが、下降傾向が続き、2006年調査では、約137万円。この結果を見て、どうやって生活すればよいというのか。今日では教育費にかかわる経費も大学卒業時までの費用が約1千万円だと言われている。
政治全体のあり方、厚生労働行政の本来的なあり方が問われていると思う。政治の流れを国民の手に取り戻すことが必要だが、まずは当面の課題である「教育」「福祉」「医療」にかかわる点での緊急的な対策を国や自治体に求める国民の切実な声を届けることが最重要課題だと言えよう。