以下、 日本婦人団体連合会の呼びかけに全国人権連も賛同しました。

今国会における民法改正実現を求めるアピール
2010年3月 

今国会における民法改正への期待が高まっています。法律で同姓を強制しているのは、世界でも日本だけであり、夫婦別姓での婚姻が認められていないため、多くの女性が望まぬ改姓、事実婚、通称使用などによる不利益・不都合、精神的苦痛を強いられ、法改正を待ち望んでいます。今国会に向けて、民法改正案の概要が発表されていますが、閣僚や政権与党の中にも反対を明言する議員があり、事態は予断を許しません。
 
法制審議会はすでに1996年、選択的夫婦別姓の導入、女性16歳・男性18歳という婚姻最低年齢の差異や女性の再婚禁止期間の見直し、婚外子の相続差別廃止などを含む民法改正案要綱を答申しています。しかし、その後政府から法案が提出されないまま14年が経過しました。1997年以降は自民党以外の各党が議員立法として民法改正法案を提出してきましたが、継続審議・廃案を繰り返し、現在に至るまで法改正は実現していません。

こうした日本の状況について、国連諸機関は、国際人権条約の内容に基づく法改正を行うよう政府への勧告を繰り返してきました。昨年の国連女性差別撤廃委員会は、「男女共に婚姻最低年齢を18歳にすること、女性のみの6カ月の再婚禁止期間を廃止すること、及び選択的夫婦別姓制度を採用することを内容とする民法改正の早急な措置を講じること、婚外子とその母親に対する民法及び戸籍法の差別的規定を撤廃すること」を日本政府に強く勧告し、2年以内の実施状況報告を義務付けました。国連人権規約委員会、子どもの権利委員会、人権理事会も、婚外子差別など日本の民法の差別規定改正を求める勧告を出しています。

姓の選択は個人の権利であり、男女平等と基本的人権を掲げた憲法にもとづく社会制度の確立が必要です。選択的夫婦別姓や婚外子差別廃止は世界の流れであり、日本の動きは遅すぎるほどですが、夫婦別姓が「家族を崩壊させる」として激しく反対する動きもあります。
政府やマスメディアは、こうした妨害に屈せず、選択的夫婦別姓制度が同姓・別姓を自由に選択できる制度であることをはじめ、民法改正案の内容を積極的に周知徹底させるべきです。
また、婚外子差別を撤廃すべきという声にも誠実に耳を傾けるよう求めます。

女性・国民の声に応えて、今国会で民法改正を実現することを強く要求します。

日本婦人団体連合会