福岡と仙台で行われた厚生労働省保険局の「後期高齢者医療制度」問題の公聴会。その名も「新たな高齢者医療制度についての公聴会」というから、民主党のミスター年金とよばれた長妻厚生労働大臣が国会答弁で言及したことが実行に移された第1歩といえる。良い制度にするための第1歩ならば良かったのだが、「75歳を65歳に」という更なる医療改悪では、なんとも。

それに加え以下に述べるように「公聴会」といいながら国民を愚弄するかのような姿勢はいただけない。

福岡では8月2日、アクロス福岡で開催され九州各県から800人が参加。新聞報道等によると、「公聴会には老人クラブの会員や健康保険組合の関係者、自治体職員らが参加」とあり、どうやら事前動員が多かった様子。唐澤労働保険局審議官は、75歳という年齢でくぎったことにより後期高齢者の感情を損なったので、新しい制度が必要となったと述べ、新制度については高齢者医療制度改革会議の座長を務める岩村東大大学院教授が制度説明し、吉岡高齢者医療課長がポイントを説明したとか。

資料配布に基づいて会場から170人が質問・意見を記入して提出したところ、発言を求められたのは5人。実際の発言は4人。そのうち3人は、厚生労働省案をもろ手をあげて支持というから、、、?。会場では、この雰囲気に「これでは公聴会ではない。たんなる説明会ではないか」と怒りの声が飛び交ったという。

また、公聴会開催前に事前に提出された参加者からの声に対する唐澤労働保険局審議官の答弁も、やはりハンでおしたように「新制度に基本的に賛成」「制度は浸透している」という声を紹介し、「もとの制度に戻せという声もあるが、現行制度で改善した点もあり、もとに戻すと混乱する」と、反対意見をあっさり否定。

8月4日の仙台での公聴会は仙台長町楽楽楽ホールで開催し400人が参加。こちらも福岡と同様な運営。動員体制もやはり同じようなものだった様子。中央社保協への報告書によると、当日、会場で配った意見調査票に意見や質問を書いて提出したは120人。しかし、不思議なことに120人の提出した意見調査票を無視して、事前に寄せられた声に沿って進められ、そのうち5人が指名され意見を述べたとか。指名されたのは退職者連合、県広域連合議長、協会けんぽ職員、広域連合職員、元自治体職員という顔ぶれ。各氏は原稿も事前に用意。

これでは「公聴会」と銘打っても、たんなる「説明会」としか受け取りようがないと参加者が憤るのも無理のないところ。民主党は確か「政治主導」と叫んでいたはずですが。なんだったのでしょう。ついでに言うと、今回の「公聴会」にはいったいいくらぐらい経費がかかったのでしょうか。事業仕訳でどう評価するのか。