全国水平社創立から82年、旧身分を理由とする社会的な差別問題である部落問題が基本的に解決したもとで、われわれはここに、人権と民主主義、住民自治の確立をはかり「地域社会における権利憲章」運動を推進する全国地域人権運動総連合の創立を宣言する。

 水平社以来の部落解放運動は、封建的身分差別の残りものを克服し、わが国における人権と民主主義を確立するたたかいであった。 それは主に部落住民の居住する地域社会を舞台に展開され、自由と平等、そして社会的権利を住民の生活要求に根ざして具体化してきたすぐれて地域性をかねそなえた社会運動であった。

 部落解放運動はまた、内部に派生した「部落民以外すべて差別者」とする部落排外主義とのたたかいを通じて前進してきた。 とりわけ1960年代末に部落解放同盟指導部を略取した、暴力と利権を特徴とする部落排外主義勢力とのたたかいは、部落問題の性格を民主主義の課題として明確にさせ、日本社会における人権と民主主義の水準を引き上げ、国民融合による部落問題解決こそが本流であることを鮮明にさせた。

 われわれはいま、部落解放運動の輝かしい人権確立のたたかいに学び、その歴史的教訓を受け継ぎ、地域社会全体を視野に、「人権と民主主義、住民自治の確立をはかる地域住民運動」とそれを担う組織体へ発展的に転換する。

 この新しい地域住民運動への発展は歴史の必然であり、激動する地域社会の変貌がもたらす時代の要請に応えるものである。 全国地域人権運動総連合は、地域社会において住民の権利を擁護し、地域社会発展の権利確立と創造という新しい21世紀の挑戦をはじめる。

 そして糾弾や恫喝による人権侵害を許さず、また「人権」の名による法制度や教育・啓発で国民の内心を管理・統制するもくろみを許さないたたかいにも、果敢にとりくむものである。

 いま日米の支配勢力は、日本国憲法を蹂躙し自衛隊の海外派兵のうえに、アメリカの先制攻撃に参戦する制約をとり払い、国民の権利を抑圧するために明文改憲にのりだそうとしている。 長年にわたって歴史的に獲得してきた基本的人権、国民主権、平和主義、地方自治などの基本的価値を定めた日本国憲法は国内外人民の宝であり、その改悪をわれわれは絶対に許さない。

 全国地域人権運動総連合は、部落解放運動がそうであったように、人間の世に対する熱い思いとゆるぎない信頼のうえに成立する。

 人権と民主主義、住民自治が花開く地域社会の創造を!

 全国地域人権運動総連合は、歴史に新たなたたかいを刻むべく、内外の期待に応え、かくして創立された。

         

  2004年4月4日

全国地域人権運動総連合創立大会