大阪府「興信所条例」の「一部改正案」に対する民権連見解
2011年1月25日
「興信所条例」(大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例)の「一部改正案」に関する見解
民主主義と人権を守る府民連合
執行委員長 谷口 正暁
大阪府は、不動産会社など関連業界が「同和地区」の所在地等を調査しました。これを「差別助長行為」であり規制するために、昨年12月27日、「興信所条例」(大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例)を「一部改正」すると発表しました。
府によれば、この調査をおこなった業者は、リサーチ会社130社のうち5社、広告会社170社のうち6~7社とごく一部に限られているということです。
ところが、橋下知事は昨年4月におこなわれた解同府連との政策懇談会で条例による規制を検討すると約束。12月に、「興信所条例」を「一部改正」することで対応すると、2月府議会に「改正案」を提案しようとしています。
「改正案」は、業種の特定はなく、土地取引という経済活動にかかわる業種(不動産取引にかかわる金融機関、弁護士、司法書士など)すべてが対象となります。これでは、土地取引という市民、事業者の多くの経済活動のなかで、やらせ、密告など経済活動上の競争に悪用するなどの弊害を生みだしかねません。
仮に「差別事象」が起きたとしても、それは話し合いで解決すべき問題であり、大阪府民の自由な意見交換と良識によって解消されるものです。
同和対策事業が終了して9年、「地区指定」もなくなり、地区内外の融合・交流がすすみ、府民の同和問題に対する意識は着実に解消しています。こうした時期、いま同和問題解決のために求められていることは、人権行政の名のもとに実施している「同和行政」をただちに廃止すること。そして、「興信所条例」をはじめ「同和」にかかわる基本方針などすべてを廃止することです。
また、「地区児童生徒の学力が低い」と06年、学力調査の結果を公表した大阪府教育委員会や大阪府などが地域のマイナスイメージを流布してきたことが同和問題解決を遅らせている大きな要因です。こうしたことこそ直ちに廃止すべきです。
民権連は、以上の立場から、今回、府が2月府議会に提案しようとしている「条例」の「一部改正」に断固反対するものです。
*一部改正案(概要) gaiyou.pdf