17日の大阪府市長会は、先の会合で「慎重審議」を求める意見を受けて人権部会に差し戻しされた経緯から、部会は慎重意見を盛り込んだ報告書案を会議に提出したが、出席者から「各市の取り組みに支障が出る」などの反対意見が大勢となり、「報告を受けた」(大阪府市長会事務局)程度の扱いとなり、実質的に「報告書」を「確認」することにはならなかった。
 「法が失効しても同和地区は存在する」「差別があるかぎり同和行政は継続」などという、解同の独善と特権を許さない世論と運動が反映した結果である。
 こうした流れが、大阪府や大阪市などの、いまだ「同和」偏重事業費の削減・廃止に向かうよう、さらなる市民的運動の前進が求められる。
 「同和行政の完全終結を求める府民実行委員会」が7月のはじめに立ち上がり、運動を開始しした。
 一方では、地域就労援助金の不明朗使途が島本町議会で問題になり、大阪府は領収書の監査を府議会で明らかにした。しかし島本町は十分な監査もしないで前年度なみの予算を執行している。また、隣保館に解同支部事務所が「目的外使用の許可」なる行政のいいかげんさにより入居(タダで)している。
 こうした問題も、是非、取り上げ、廃止に向かうことを、そのため全国注視となるよう相互連携をはかりたい。

 2007年7月17日 大阪府市長会 御中
  全国地域人権運動総連合 議 長   丹波 正史

大阪府市長会は、部落問題解決に逆行し、「同和行政と同和地区復活・永続化」の確約につながる「『同和地区』の位置づけ、呼称問題に関する研究会」の「報告書」を確認すべきではない

 去る5月7日の会合は、標記の件について、慎重審議を求める意見もあって部会に回し継続課題とした。
 この問題は単に、 同特法で指定した「同和地区」を法後のいま、どう呼称するのかということではない。「報告書」は「実態調査」の実施を行政に求めるなど、行政が住民のプライバシーを侵害し「旧同和地区と関係住民」を固定化するもので、自由な社会的交流の拡大による部落問題解決に重大な障害を持ち込むものである。

 同時に、「解同」という一民間団体の要求に沿って、「解同」と行政が一体となって「解同」の意に沿った「報告」をまとめるなど、行政の主体性もなく公平・公正さを欠いている。
 さらに、国の特別法失効後も同和対策事業を継続し、全国から厳しい批判がなげかけられている「人権協会」を隠れ蓑にした「解同」利権を固定化する狙いがあり、「飛鳥会」事件の教訓を生かすならば、利権にまつわる一切の特別対策を終結すべきである。
 人権啓発や人権教育も、「解同」という特異な理論の押しつけであり、市民の自由な学習を促すものではなく、各種加配配置と勤務実態も根本的見直しが求められている。
 政府は1986年来の意見具申などで、部落問題解決の基礎的条件として、「差別糾弾闘争」の是正やえせ同和行為の一掃など、新たに「差別意識」を生み出している諸要因を除去・排除することを強く指摘してきた。「差別意識」なるものの要因や背景について何ら分析することを放棄し、行政と市民に責任を押しつける「報告」は論外である。
 大阪における部落問題解決とは、とりもなおさず「解同」問題の克服であって、不正を糺すことこそ、市長会などが率先決議すべき内容である。
 あらためて、「報告書」に関わる一切について、決議をしないでいただきたい。
                                                                                                          以上