法務大臣閣議後記者会見の概要
令和2年6月2日(火)

インターネット上の誹謗中傷等に対する法務省プロジェクトチームに関する質疑について

まず1件目は,インターネット上の誹謗中傷等に対するプロジェクトチームの設置についての御報告です。
 インターネット上での誹謗中傷等の書き込みは,同様の書き込みを次々と誘発し,取り返しのつかない重大な人権侵害にもつながるものであって,決してあってはなりません。しかしながら,インターネット上の人権侵害事案は年々増加しています。
 また,近時,新型コロナウイルス感染症の影響が広がる中で,感染症に関連する誹謗中傷等の深刻な被害が社会問題化しているところです。
 これらの問題については,早急な対策が必要であり,法務省においても,関係省庁等と連携しながら,検討を進めるため,昨日(6月1日),「インターネット上の誹謗中傷等に対する法務省プロジェクトチーム」を設置し,これを,政策立案総括審議官に統括させることとしました。
 法務省として,必要な検討をしっかりと進めてまいります。

【記者】
 冒頭御発言いただいたインターネット上の誹謗中傷等に対する法務省プロジェクトチームについてですが,具体的にどのような点を御検討されるのか,お願いします。

【大臣】
 3つあると思っておりまして,まず,以前も記者会見でお話したかと思いますが,人権擁護局では様々な啓発活動を行っており,そういった啓発のより効果的な在り方というものを検討しなければなりません。
 また,刑事法の方で,侮辱罪に当たり得るということが考えられるのですが,侮辱罪の公訴時効は,1年でございます。現在インターネット上で書き込み等をされた際,その相手方の特定のための開示手続に時間が掛かりまして,1年を過ぎてしまうということがありますと,刑法上の公訴時効が完成してしまうことになります。そういった様々な面が刑事法の分野でも指摘されているので,適切な刑事罰の在り方も考えなければなりません。
 さらに,民事手続上の課題については,総務省がリーダーシップを持って取り組んでいただいているプロバイダ責任制限法に関連して,民事手続,これを迅速化していく取組を総務省に協力する形で進めていかなければなりません。
 そういった様々な分野にまたがっておりますので,先ほどのように,政策立案総括審議官をトップにして,各局をまとめて対応していきたいと思っています。