2020年10月15日
福岡県教育長 御中
                       
福岡県地域人権運動連合会
 会 長  川 口 學

文科省による中曽根元首相の合同葬への学校教育機関に対する
「弔意」の強制に反対する申入れ
 
申し入れ事項

1、文部科学省が国民や教育機関に、故・中曽根康弘元首相の葬儀にかかわって「弔意の表明」を強制することは、日本国憲法が保障する思想・良心の自由を侵害する恐れがあることから強く反対するものです。

2、都道府県及び政令市教育委員会は「弔意表明」の文科省通知を各学校現場に強制しないことを申しいれます

申入れ理由

1、文部科学省は10月13日、国立大学や都道府県教育委員会等に、内閣・自民党による故・中曽根康弘元首相の合同葬の当日(17日)に弔旗の掲揚と黙とうを行うよう要請する通知を出しました。同通知は①1912年の明治天皇の葬儀・「大喪中の国旗掲揚方」に準拠して弔旗を掲揚すること②午後2時10分に黙とうすることを要請しています。
通知は要請の形式をとっていますが、実質は国旗の掲揚や国歌斉唱を強制するものです。これは国民に保障する思想・良心の自由を侵害するものです。私たち全国地域人権運動総連合が2012年11月18日の第5回全国大会で制定した「自分の意思による自由に考え発信し行動できる地域社会」など3項目の「地域人権憲章」を真っ向から否定するものであり、強く反対するものです。

2、教育行政は「教育は不当な支配に屈することなく国民全体に対して直接に責任をもっておこなわれるべきもの」であることから、特定政党の元首相の葬儀に、学校教育行政が生徒・児童に黙とう強制する文科省通知は認められません。貴教育委員会として学校、生徒・児童に文科省通知を強制しないことを強く求めるものです。

3、故・中曽根元首相は生前、世界で唯一の被爆国・日本に原子力の「平和利用」を口実に原子力原発を導入したり、国民の足として全国津々浦々まで公共交通機関であった国鉄を民営化・解体し、利潤優先で採算の合わない全国の地方の路線を廃止しました。これが今日の地方の過疎化の大きな原因の一つになっています。
また、中曽根氏は首相時代、アメリカのレーガン大統領に「日本をアメリカの不沈空母にする」と約束するなど、日本国憲法の恒久平和の精神を蹂躙するなど、売国的な役割を果たしてきました。
 憲法の基本的人権条項と恒久平和をもとめる私たち人権連は、以上の理由から故・中曽根氏の葬儀は関係者のみで執り行い、教育機関や生徒・児童に「弔意」や「黙とう」を強制することに強く反対するたちばから、標記の申し入れを行うものです。。