今年3月31日を目前に労働組合・医師会・民商・学校PTA、NPO法人など、以前から自主共済を行っていた団体が「改正保険業法」の影響を受け、国による社会保障切捨て政策が進むなかで、自らの生活防衛として取組んできた共済制度を自主廃業せざるを得ない深刻な状態にあります。ぜひ皆さんもこの問題について考えてください。
「改正保険業法」は、正式には、「保険業法改正保険業法」といいますが、もともと事のおこりは2000年段階での米国通商代表部の日本政府への「年次改革要望書」のなかに「保険業」についての「要望」という名の有無を言わさない「命令」が、掲載されていたことにはじまります。「年次改革要望書」は1993年7月の宮沢喜一首相とビル・クリントン大統領との会談で決まったものとされています。2000年段階では、健康保険料3割負担や郵政民営化などが主な要望となっていましたが、その後、2004年には今回問題となっている医療制度改悪や保険業改悪が表舞台にあがっています。
それと歩調を合わせて、在日米国商工会議所の度重なる圧力もあり、保険業を所管する金融庁保険局が他の省庁とまったく連携せず国会に法案を送り出したようです。(労働組合やPTA、医師会などはそれぞれ所管する監督官庁が違います。それを無視したわけですから他の省庁にとっても晴天の霹靂だったでしょう)
日本政府は、改正保険業法を国会に上程するにあたり、その少し前、問題となっていた「オレンジ共済」やマルチ商法など共済や保険を名乗るインチキ商法から国民を守ることを前提にしていた経緯があります。(これは結局国民の目を欺く目くらまし)各労働組合などがこの問題に気がついたのが2005年秋頃と言われていますが、まさかここまで酷いものだとは予測不能だったと感想を述べています。
この問題の深刻さは、生活保護水準の引き下げや医療費削減など、すべての社会保障政策が「小さな政府」「骨太方針」によって切り捨てられているなかで、今年4月から始まろうとしている後期高齢者医療制度問題とあわせて考えるとき、自分たちで自分たち自身の身を守ろうとしている自主防衛そのものを国が壊そうとしている点にあります。国の社会保障制度が万全だったらもともと保険も共済も無かったでしょう。国や政治家は、将来を見据えて自主共済制度を適用除外とし、当面する対策を講じた後、アメリカ言いなりの政治姿勢から卒業し真の意味で自主独立国家「日本」を構築すべきです。