2008年3月21日
各 位
    全国地域人権運動総連合
        議 長     丹波正史

国民の基本的人権、言論表現の自由を抑圧し、違法な
部落解放同盟の「差別糾弾」を合法化する「人権擁護法案」の白紙撤回を

 自民党人権問題調査会は本年より会合を本格化させ、人権擁護推進審議会の「答申」評価や人権擁護委員の活動についてヒヤリングを重ねています。太田誠一・調査会会長は「たとえ今出ている案とだいぶ性格の違ったものになったとしても、まとめあげようという気持ちになっていただきたいと思うのです」(2月14日http://www.election.ne.jp/32/39812.html)と、「国会再提出」との意向を放棄していません。
 2003年に3度の継続審議を経て廃案になって以降、05年、06年と、与党「人権問題等に関する懇話会」が中心になって法案の修正、国会上程の動きがありました。
 しかし、多くの国民をはじめマスコミ、与野党の国会議員等からも、「修正」で済む代物ではなく、審議会「答申」にこだわらず制度設計の根本からの見直しが必要と指摘され、国会上程ができずにきた経緯があります。しかし、この間の議論は、「まとめあげる」ことが目的となり、国民の人権実態と救済の方途に関わる議論に至る気配が見えません。
 平沢勝栄議員も「数年前、この問題を法務部会長として審議して、あの時と同じような議論が行なわれている。あのときの結論は、これは、一本に纏めきれないということで、とてもじゃないが法律として出せないということでお蔵入りしたものである。何故また出てきたのか、出さなくてはならない理由を聞きたい」(2月29日)と発言していますが、多くの国民もマスコミも同様の思いであり、調査会再胎動の思惑を勘ぐるものです。
 私たち全国地域人権運動総連合(略称=全国人権連)は、前身である全国部落解放運動連合会当時より、国民の人権擁護と部落差別解消に奮闘し、「越えがたい壁」であった結婚問題などでの自由な社会的交流の前進に力をつくし、部落解放同盟などの暴力的「差別糾弾闘争」の一掃、不公正乱脈な同和行政の是正と終結を働きかけてきた団体です。 
人権擁護推進審議会の意見陳述では、司法制度の充実、「人権」「差別」等の名のもとに言論・表現や取材活動の自由を規制し「差別糾弾闘争」の合法化につながる法律は必要ないこと、中立・公正な人権擁護委員の選任と委員会の民主化等を主張してきました。
  政府提案の「人権擁護法案」は、02年11月7日の参議院法務委で人権擁護局長が「法案の3条でございますけれども、これはいわゆる差別禁止規定を明確に書いておりますが、この差別禁止規定などは、かねてから同和団体の方が各種の基本法の制定運動をなされておりましたけれども、その中に取り上げている事項と全く軌を一にするもの」と答弁しました。これは部落解放同盟による「部落解放基本法」案を指しています。
 部落解放同盟は無法な糾弾闘争を継続する方針を今年3月の大会でも採択しており、調査会の結論として、いかなる名目であれ「人権」に係わる「法」ができることは、これまでの経過からして部落解放同盟の策動に政府与党が手を貸す事態を生むことになりかねず、行政、教育、企業をはじめ国民への人権侵害を拡大させ、02年以降も進展している同和問題の解決に逆流を招くものです。
 与党・政府おいては通常国会への人権擁護法案の再提出を断念し、国民の期待にかなう人権擁護の体制を、同和の観点からでなく、あらためてそもそもから検討し直されることを強く要請するものです。