特別決議
憲法を暮らしに活かし、
貧困と格差拡大の「構造改革」に断固反対しよう!

 後期高齢者医療制度廃止法案は、野党4党の共同提案で参議院に提出し可決され、衆議院での審議入りが待たれていた。75歳と言う年齢だけで医療保険制度を区分し、所得のない高齢者からも保険料を徴収する制度は「姥捨て」政策にほかならない、年齢によって提供される医療サービスに差をつけることは憲法第14条に違反する差別政策だ、国民負担を自動的に引き上げる医療制度改悪は中止を、などの国民世論と運動が反映した廃止法案である。
 老齢化は誰にも平等に訪れるものであり、加齢によって病気になる確率が高まることも避けられない。高齢者に限らず、医療費の多くが終末期に集中することも一般的である。そのような医療の特質をふまえた社会保険制度による医療が構築され、不十分さはあるものの、社会の安全網として機能してきた。
 それが、小泉、安倍、福田政権と続く「構造改革」という政府の施策によって、医療制度、医療保険制度の空洞化や劣化が進み、その矛盾が高齢者などの経済的弱者に集中してきている。
 経済的弱者が集中する高齢者に自己責任を迫り、社会に貢献し続けてきた高齢者に医療の抑制をせまるという「誤った理念」に基づく制度だからこそ国民の怒りが沸騰しているのである。
 後期高齢者医療制度は廃止すべきである。その上で、社会保障制度全体との関係もふまえ、国民皆保険を前提とする医療制度のあり方とともに、大企業・資産家向けの減税を元に戻し、軍事費の大幅削減、ムダな公共事業の見直しなど税の取り方と使い方について、国民的論議を尽くすべきである。
 自公政府は、医療や年金、介護、生活保護など社会保障拡充を求める国民の要求を逆手にとって消費税率引き上げを画策し、高齢者医療費が社会保障費増加の「主犯」であるとする世代間対立を煽る宣伝さえおこなっている。到底容認できるものではない。
 こうした憲法が規定する生存権などの基本的人権を掘り崩す「構造改革」は、生活保護世帯や子育て世代、自立した産業基盤のない地域、非正規労働者、医療・介護などあらゆる領域に非人間的有り様を押しつけている。一方で、憲法改悪の審査会論議、自衛隊の海外派兵恒久化など、マスコミを巻き込んでキャンペーンが為されている。
  深刻な貧困を増大し格差を拡大する「構造改革」、国民の権利を剥奪し「儲け」の市場原理に放り出す弱肉強食、軍事大国化に断固反対するものである。
  以上決議する。

 2008年6月22日          全国地域人権運動総連合第3回定期大会