国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防水門の開放を国に命じた「佐賀地裁判決」を国が不服として、10日福岡高裁に控訴。農林水産省には佐賀県選出の2人の副大臣がいる(彼らは控訴しないように一定の働きかけをしたが、最終的に控訴を了承したと新聞では伝えられている)。そういった面で、原告側の国は控訴しないのではという期待は大きかったと思うと同時に、今回の国側「控訴」には落胆が大きかったと思う。
6月27日の佐賀地裁判決をめぐって、福岡、佐賀、熊本の3県が控訴断念をそれぞれ求めているのに対して、長崎県は控訴する方針を求めるなど、同じ九州のなかでも対応・考え方の差が大きく今後波紋も大きいことが予測される。

判決がいう「5年の調査」と国がいう「調査」は、どちらも調査ということなのだが、どこがどう違うのか、よくわからない。洞爺湖サミット開催の最中、環境問題についての今回の国側控訴という点に関する世界の中での評価や干潟に生息する希少生物や鳥などの生態系の変化の点など、漁業だけでなく幅広い分野で議論されることだろう。島根・鳥取に位置する中海干拓問題とも関連して、今後、諫早近辺・地元の人たちの動向が注目される。