01.JPGマイケル・ムーア監督は、「アホでマヌケなアメリカ白人」「華氏911」「シッコ」など、現代アメリカ社会の病理を問う映画を次々に発表している鬼才である。筆者は「シッコ」(アメリカの隠語で「ビョーキの人」)を映画館で観ただけではもの足りず、DVDも購入した。
この「シッコ」、予備知識があるとおもしろさが倍増する。アメリカでは救急車が有料であること、西側先進国では唯一国民皆保険ではないこと、そのために民間保険会社が大儲けしていることなどだ。
考えさせられるのは、日本の保険制度はヨーロッパ諸国とアメリカの中間にあること、日本のそれがアメリカ資本の圧力で、アメリカ並みにされようとしていることだ。実際にテレビを観ていると、「50・80喜んで」とかアヒルが「ガー」とか、アメリカ資本の保険会社のCMが大量に流されている。
最後は合衆国政府に洗濯を迫るというギャグで締めているが、これは別として、いまの日本の医療制度を考える上でも、この「シッコ」は一人でも多くの人が、一度は観たほうがよい。