太田農林水産大臣の突然の辞任。突然の辞任が多い中で、これをどうみるか。 

事故米をこともあろうに食品に、しかも調査が進むにつれて、学校給食や病院給食、老人施設の食事をはじめ、お菓子、おにぎり、お弁当など、あらゆる分野で基準値以上の農薬汚染やカビ米の毒素が使用されていた。これには、もともと知っていた「確信犯」を除いて全国の誰もがおどろいた。偽装もここまで浸透していたのかと驚かされる。食べても健康被害の報告はないというが、そんなことではすまされない問題だ。

農林水産省の監督職員は、処分立会いに1時間か長くて2時間しかいなかったというし、97回にのぼる「立ち入り調査」も事前に業者にお知らせするという、なんとも「何のための立ち入り」かと、その姿勢は批判を浴びても言い訳はできない。単に当該職員だけの問題ではなさそうだ。もともとこういった風土が省のなかに蔓延していたということだろう。

そんな中で、以前から問題発言の名手として名高い、太田氏が午前中の閣議後、福田総理大臣に辞任を申し出た。太田氏は、衆参両院の委員会で「誠に申し訳ない」と省の責任を認め陳謝。その後の、記者会見で、「辞意を表明した」と記者団に説明したようだ。

事故米問題で「政治責任」をとったことを強調する一方、「農水省の対応で辞任したわけではない」と語る太田氏をめぐっては、まだ「インチキ事務所費問題」が決着していない。なんとなく、衆議院選挙前に自ら辞任を申し出て、男らしさを強調すると同時に、いままでの問題に蓋をしたいという思惑も働いている気がしないでもない。

いずれにせよ、今回の事故米問題や厚生労働省の年金記録改竄問題は、今後、こういった国民を愚弄した不正行為を野放しにしないうえで、徹底追及が必要だろう。