年頭のあいさつ
迎春
いま時代は「閉塞状況」だという。そうだろうか。確かに世界的な不況の嵐が吹き荒れ、不安定就労者が路上に投げ出されている。だが、ここ数年の流れをみても、社会の困難を打開する国民の力量は大きく成長している。
私は、憲法改悪の勢力が台頭しだした時期に、日本の戦後民主主義の岩盤は決して小さなものでない、と発言した。また貧困問題の深刻化を踏まえ、その特徴を「分断的貧困」と語った。その後の推移は、油断はできないが、間違いなく国民の運動がこれを許さない道を歩みつつある。
歴史は決して傍観していないし、その主体をなす人間どもの営みは社会進歩への道に行く必然性がある。「閉塞状況」と嘆いたり、傍観したりするのでなく、如何に多くの人びとを結集し、世論と運動を構築するかにある。新しい年はこれに応えるだろう。
全国人権連議長 丹波正史
ワン | 機関紙「地域と人権」