麻生内閣のもとですすむ道州制論議

 麻生内閣は、安倍、福田内閣から引き継いだ地方制度調査会、地方分権改革推進委員会、道州制ビジョン懇談会の3つで「道州制導入、地方改革」の議論を進めています。
 これらの会議のほとんどは財界がトップを占め、道州制の移行を行政の「選択と集中」として「究極の構造改革」として位置づけています。
 財界は、道州制の導入で①インフラの整備②県議会議員、職員の削減③地方交付税制度の廃止、住民の「自立」、「自助」などで財政効率化を図り、浮いた財源で企業誘致ができ、日本は再び成長力を取り戻し、国際競争に勝つことができるとしています。

地方自治の観点が欠如した道州制論議

 しかし、財界の「導入制導入」は、①1件の事業費が拡大し、放置すれば大企業やゼネコンの市場に②州内格差が拡大する③大企業の経済主義的発想で地方自治の視点が欠如しています。
 特に、道州制導入の前提として市町村数を全国で最終300(一自治体人口を約30万人に想定)、当面を700から1000にすることを想定し、現行では知事を選挙で選んでいますが、州トップの選出を選挙でなく「議員内閣制」(総理大臣の任命の)導入が検討されています。

町村会、議長会でも反対の特別決議

 すでに、平成の市町村合併で、「選択と集中」の名の下、多くの地域や集落が没落し、導入制が導入されれば、その地域衰退が府県単位の広がる可能性があります。
 昨年秋、全国市長会と町村議長会が「日本の国土を滅ぼす」という理由で道州制導入反対の特別決議を採択、県議会議長会も反対が多数を占めているなど、国民との矛盾は広がっているのが現状です。
 市町村合併での地域の実態を検証する研究や運動も全国的に広がり、自分たちの地域を自分たちの手で守る取り組みなど、住民の自治も高まってきているところもあります。
 道州制導入は、先のことではありません。地方自治と地域づくりにとっても大きな影響を与えます。
 今後の動向に注視していく必要があります。

「地域と人権」広島版3月15日付より転載