新聞「地域と人権」 【福岡】

目的外使用あれば来年度配置しない
支援加配の服務管理で福岡県教委が市町村に通知

一般対策事業として配置された児童生徒支援加配教員を「同和」教育団体の業務に従事させるなどの「目的外使用」の是正を全国人権連から指摘され、文部科学省から適正化を指導されていた福岡県教育委員会(森山良一教育長)は3月28日付けで、児童生徒支援加配教員の服務管理の適正化を各市町村教育委員会に通知。「通知に反した活用があれば来年度、加配教員を配置しない」とする加配教員の服務管理の徹底をもとめています。

毎年、400人を上回る児童生徒支援加配定数を文科省から措置されている福岡県で、事業が始まった02年度から06年度までの5年間、同加配教員の服務、活動実態は旧同和教育推進教員時代と同様に、各地区の同和(解放)教育研究協議会の事務局として組織の企画、運営などに従事するなど「同和」教育最優先が常態化していました。
小中学校で13人が配置されている行橋市の場合、授業時間に解同事務所のある地区労センターなどに月20日前後の校外出張をくりかえし、解同、行政、市同研と一体となった促進学級運営委員会事務局の運営に従事。
筑紫野市では、複数の支援加配教員が同和教育推進のために「派遣指導主事」として地域の隣保館に配置されるなど目的外使用の露骨な実態がありました。
背景には県教委の市町村教委への「支援加配教員は同和問題の課題解決や人権・同和教育の推進のために活用されるべきもの」(02年3月)とした通知と「教員加配定数の活用について」(04年2月、通知)の「なお書き」で「人権・同和教育に関する情報収集等の業務に従事」を認め、支援加配教員にフリーハンドをあたえていたことがあります。

同研など関係団体業務の出張認めず

今回の県教委通知は①教育関係団体を通じた業務等の服務管理について②教員加配定数の活用計画等についての二つ。通知は「(支援加配教員の)一部の出張用務に関係団体業務への従事とも受け取られるような記載や、特定教員による校務担当者会議等への過度な出張など、服務上整理を要する問題が見受けられた」と指導方針を反省。
①の服務管理(通知)では「学校教育活動と連携した関係団体(各地区人権・同和教育研究協議会等教育関係団体)であっても、事務局担当者会議など当該関係団体の企画・運営に関わる業務を含む用務については、旅行命令(出張)は発せられないこと」とし「出張用務については、具体的な内容を旅行命令簿に記載、当該校の学校教育活動であることを明確」にすることをもとめています。
②の定数加配の活用計画(通知)では「加配の活用内容の明示」で「『年間指導計画書』に加配ごとの項を作成、加配の趣旨に沿った特段の活動内容を記載」させ、年度末には「加配の効果の検証」を指示。その上で「加配配置校に対しては、これまで以上に詳細な活動状況調査を実施、通知による取組が行われていない場合や活用状況によっては、翌年度の配置は行わない」と釘をさしています。
二つの通知は従来の県教委の姿勢になかった積極性がみられますが、反面、「保護者等への周知」として「保護者等に説明する機会を設ける」と解同や各地同研など関係団体の介入を許しかねない弱点も見られます。
県教委の加配定数の見直しは、人権連や各地方議員が県下各地の露骨な目的外使用の具体的事例を詳細に調査し、文科省との交渉で毎回、是正を求めたことが実現したものです。
文科省も担当の初等中等教育局財務課が福岡県教委に調査を指示、目的外使用の実態があれば国庫補助金の返還をふくむペナルティーも辞さないと強く指導していたこともあります。
国庫補助金の返還は現在、会計検査院が福岡県の実態を調査中です。
【「地域と人権」全国版/4月15日号】