中国引き揚げ65周年企画「漫画展」
ここに1枚のパンフレットがある。その表紙には「中国引き揚げ65周年企画」と赤に白抜きされた文字の下に「漫画展」「中国からの引き揚げ~少年たちの記憶」と明記されてある。主催は「日本中国友好協会」、協力団体として「私の八月十五日の会」とあり、後援団体には、中華人民共和国駐日日本国大使館、日本中国文化交流協会、財団法人日中友好会館、社団法人日本漫画家協会、NPO中国帰国者の会とある。
これらにかこまれるように一枚の漫画が表紙を飾っている。作者は森田拳次氏、地平線に浮かぶ真っ赤な夕日に向かって木材でつくられた屋根のない枠の中にびっしりと引き揚げ者を満載した蒸気機関車が黒い煙を吐きながら進んでいる。絵には「紅い夕陽に小便とどけ ぼくの心の地平線」と記されている。
パンフレットを開くと日本中国友好協会会長の長尾光之氏と「私の八月十五日の会」代表で漫画家の森田拳次氏、「少年たちの記憶」漫画展実行委員会委員長の石子順氏の三名の漫画展への思いを込めたあいさつがあり、その下に「ちばてつや」氏など著名な漫画家の名前と作品名の一覧が掲載されている。その左側のページには旧満州(中国東北部)の都市から引き揚げルートが掲載され、漫画家たちがどこのルートを通って日本に帰ってきたかも紹介されている。裏表紙には、参考年表と用語解説が添えられている。
3月11日の東日本大震災の頃は、この漫画展がちょうど東日本の各都市で行われていた最中で、その後、西日本で開催する予定もせまっており、各県の日中友好協会と漫画展を成功させようと奮闘している人たちは、被災地への思いとあわせて「震災と津波で作品は大丈夫」なのかと心配していたという。幸い作品郡は安全なことろに保館されていたため無事だった。
この展覧会(漫画展)は、全国各地で開催され、写真や話だけでなく、漫画家の自身の体験を込めたものとして、大きな共感を呼んでいる。あなたはもうこの漫画展をご覧になったでしょうか。