今日8月6日は広島で原水爆禁止世界大会が開催され全国各地から代表団が広島アリーナへ終結する日。原爆の熱線と爆風、そしてその後の放射能被曝での死亡・後遺症で苦しんでいる人はいまも多い。福島原発の事故も放射能汚染を拡散させいまなお収束の糸口がみえない。

そのような状況下で、7月7日に原子力の理論や原発の設計、製造、運転などにかかわっている研究者や技術者たちに加え行政・電力会社の技術者たちが構成する「日本原子力学会」が福島第1原発事故の原因調査の進め方について「声明」を発表した。

この声明に対して、ノンフィクション作家で政府が今回の福島第1原発事故に関して臨時に設置された第3者機関としての「事故調査・検証委員会」の10人のメンバーの一人である柳田氏は、個人的にモノ申すとして「日本原子力学会」が発した「声明」は、「事故調査・憲章委員会」に対して行われたものであるという。柳田氏はいう。「調査される側」が声明として「調査・検証する側」へ調査方法の「枠組み」を要請するというのは前代未聞のこと。「声明」は、「電力会社と行政(規制当局)の組織要因、背景を明らかにすることこそ重要と述べ、自分たち学者・研究者のかかわりについて一言も言及していない」と柳田氏は憂い、この学会とは別に原発推進にかかわった学者ら16人が3月30日に国民に対する深い陳謝の意を表明し、事故炉を抑え込む緊急の具体策を提言した姿勢と比べて何という違いか」と批判している。

柳田氏は、最後にこう述べている。「責任解明のために自分たちがやってきたことを率直にしゃべろういう声明こそ出すべきできないか」と。

どんな事故にしても原因の究明はもちろん、その社会的、政治的、経済的背景に加えて、誰がどんな役割を果たし、なぜ事故が起きたのかを徹底的に調査・検証しなければ、再発防止に役立たない。

まして、今回の原発事故は「人災」「政治災害」といわれている大変な事故であることは、誰でも知っている。柳田氏のいうように声明は前代未聞であり、責任感はどこにいったのかと批判は免れない。

同時に柳田氏を含む10人で構成する「事故調査・検証委員会」には、政府・電力会社などの癒着構造を明確にすることは勿論、何者にも屈せず、迎合することなく、きちんとした調査検証結果をだしてほしいものだ。