中国残留孤児裁判 裁判所の時代認識が問われる

中国残留孤児賠償裁判で、東京地裁判決文(1月30日)の中に「土匪(どひ)」「鮮人」「満人」といった用語が頻繁に使われていたことが明らかになりました。
「土匪」は「殺人や略奪をする土着の盗賊団」の意味ですが、判決文では「土匪(反日武装集団)のために全滅的な打撃を受け」などと記述され、公文書ではけして使わない不適切な表現の上、日本の支配に対抗して武装蜂起した農民らも含まれており、中国人を蔑視(べっし)する表現」と原告側が反発しています。


また旧満州(中国東北部)から避難する日本人女性について「満人の妻になる者が多く子どもを満人に託す者も」とか「満人、鮮人の協力が得られた」などの表現が続出、裁判官の歴史認識や言語感覚の時代錯誤ぶりが露呈しています。
孤児側弁護団では「差別的だ」と抗議し、加藤裁判長が担当する第2陣の孤児訴訟の口頭弁論期日が取り消され、なお次回の期日を決める進行協議は8月末まで延期されています。弁護団では、「中国人養父母に恩義を感じている原告も多く、差別的表現に傷ついている」として、同裁判長の交代を要求しています。
全国人権連では、支援弁護団から判決文を入手するとともに、ひきつづき原告の闘いに連帯するカンパ活動などに取り組んでいます。
【「地域と人権」全国版/4月15日号】