全国人権連は8月9月と、根本問題が何ら解決されていない「人権委員会設置法案」の拙速な閣議決定、国会提案はすべきではないと、関係方面に要請をしてきました。(8月2日付け要請 http://zjr.sakura.ne.jp/?p=774

ところが国会閉会中の9月19日、法案内容の閣議決定を異例にも強行しました。「選挙目当ての実績づくり」と批判するマスコミもあります。
一方、法務省HPには法案等やQ&Aだけでなく、「北朝鮮による拉致問題への(文書配布等による)抗議活動も不当な差別とされかねない」との意見は「誤解」との「補足説明」(24日付け)まで掲載しています。

しかし、救済機関の独立性欠如、表現行為に対する規制等の問題点を何ら変えるものではありません。
したがって全国人権連は、これまでの方針を堅持し、法案の絶対阻止、そして民意を無視した野田内閣の早期解散・総選挙を求めてゆくものです。

人権委法案を閣議決定-独立性なく救済に逆行-(「しんぶん赤旗」9月20日付け)
政府は9月19日の閣議で、新たな人権救済機関として「人権委員会」を法務省の外局に役置する法案を決定しました。藤村修官房長官は記者会見で「(法案)提出の閣議決定はもう一度必要だが、政府の姿勢を示すために決定した」とのべ、臨時国会に提出したいとの考えを示しました。
人権委は調査を行い調停、仲裁、勧告や刑事告発などを実施。委員は国会の同意を得て首相が任命します。
日本は、公権力による人権救済機関の設置を国連からも勧告されていますが、政府の人権委は法務省の外局に置かれるため、政府から独立した人権救済機関とはなりません。
しかも、救済対象に「差別助長行為」まで加えており、不当に拡大解釈される危険性を抱えるなど人権救済機関に逆行する仕組みとなっています。
人権救済機関の設置をめぐっては2002年に小泉内閣が「人権擁護法案」を提出しましたが、人権救済機関に独立性がなく、報道統制や表現の自由を侵害するものとなっていたため、批判を浴びて廃案になりました。
今回の政府案では一定の修正を加えていますが、人権侵害を救済できないと指摘された問題点は変わっていません。

人権委設置法案の次期国会提出、異例の閣議決定(「読売新聞web」9月19日)
政府は19日、不当な差別や虐待で人権侵害を受けた被害者の救済を目的とする「人権委員会」設置関連法案について、「次期国会の提出を前提として法案の内容を確認する」とした閣議決定を行った。
法案提出の際に改めて閣議決定する。法案提出に関し閣議決定を2度行うのは異例だ。
政府は秋の臨時国会に法案を提出したい考えだ。だが、野党に加え、民主党内にも「人権の定義があいまいだ」などの反対意見が根強く、法案成立の見通しは立っていない。
藤村官房長官は19日の記者会見で、「政府として積極的に取り組む姿勢を示す必要がある。政府内の調整が終わったこの時期に、次期国会に提出することを前提として閣議決定した」と説明した。関係者によると、民主党内の人権擁護推進派から早期の法案提出を確実にする閣議決定を求める声があった一方で、法案に反対していた松原国家公安委員長が海外出張中で閣議を欠席したため、異例の対応になったという。