日本国憲法第26条2項「義務教育はこれを無償とする。」は、憲法施行以来、課題となっていた。義務教育はいわずとしれた中学校卒業までの間を指すが、実際に無償となっているかといえば、そうではない。民主党政権からはじまった「高校実質無償化」を例に考えてみよう。

高校実質無償化によって、確かに公立高校の授業料や教科書代金は実質保護者負担がなくなって無償化した。私学の場合は、2分の1、公立高校との整合性を図るといった具合になっている。でも、しかし、学校に通学させるためには、こうした経費以外にも修学旅行や学外での野外活動、部活など、保護者が負担しなくてはならない経費は年間かなりな金額になる。

中学校卒業時までの義務教育期間においても、同様に修学旅行や給食代など、あれこれ集金袋がまわってくる仕組みとなっている。義務教育は実質的には「無償化」されているとはいえない状況が続いている。夫婦共稼ぎでやっと生活ができる今の世の中で、これらも少子化の一因ともなっている。

山梨県の早川町は、山間の小さな町であるが、ここでは10年前から都会の子どもたちを「山村留学」として受け入れたり、給食代なども半額を町が助成する取り組みを行ってきた。全国各地で市町村合併や学校の統廃合が進む中で、子どもたちが少なくなっても「複式学級」とせず、町独自の予算で教員を加配するなど、先進的で挑戦的な「憲法」に明記された当たり前の事柄に果敢に挑戦してきた。

2011年7月に教育長の呼びかけではじまった「無償化検討会議」では議員や教育委員、PTA代表が様々な角度から議論をたたかわせ、町民アンケートでも賛否両論であったがそれから幾度も話合いを重ね結果的に、「まちづくりの中心を担っている子育て世代を応援したい」となったという。町長も検討会議の報告提言を受けて、2012年4月からこの取り組みを実践している。

折しも新婦人しんぶんが今回3月21号で取り上げた「義務教育を無償化した町」として、早川町の取り組みを詳しく紹介していることは「さすが」という思い。

憲法に明記されている「義務教育はこれを無償とする」ことへの早川町の「あたり前の挑戦」は、これからの日本の国づくり、地域づくりに大きな参考になるだろう。地域の絆が子どもたちを育むということを体現しようとする早川町に続く第2、第3の動きを注目したい。教育のことだけでなく、こういった町の運営は様々なところで、更なる進化をみせると期待している。