「秘密保護法の廃止に向けて」声明 (2013年12月10日)

秘密保護法案が提出された10月25日から40日余。12月6日、政府・与党は、参議院で特定秘密の保護に関する法律(秘密保護法)「修正案」の採決を強行した。国民の圧倒的多数が反対し日本国憲法を蹂躙する法案の採決が、かたちだけの審議により、参議院送付からわずか9日で強行された。

全国人権連は、強行採決の暴挙を行った政府・与党、さらに修正と称して成立を後押しした維新等に、満腔の憤りをもって抗議する。

秘密保護法では、
① 「行政機関の長」が、防衛、外交、スパイ、テロにかかわる広範な情報を特定秘密に指定して、「なにが秘密か」も秘密にし、
② 特定秘密をメディアや市民、国会・裁判所などから秘匿する一方で、取り扱う公務員・労働者や家族を「適性評価」による監視と分断のもとにおき、
③ 漏えいや「管理を害する方法での取得」、共謀・教唆・扇動を重罰に処する。「長」の一存で指定や提供ができる秘密保護法は、一部の官僚による情報の独占と恣意的な操作に道を開く。その結果、報道の自由や知る権利、国会の審議権や裁判所の司法権すら排除された、「情報統制体制」が生み出されることになる。

国家安全保障会議(NSC)設置法と同時に生まれた秘密保護法は、次に予定されている「共謀罪改正」「集団的自衛事態法案」や「国家安全保障基本法案」と結びついている。これらが完成するとき、この国は「愛国心」の名のもと「集団的自衛権」を口実に「米国有事」に参戦する国に変容する。

石破茂自民党幹事長の「デモはテロ」発言は、秘密保護法の反民主主義的な性格をはしなくもあらわにした。生み出される社会は、政府に反対する声が「テロ」として排斥され、かつての特高ばりに公安警察がばっこし、密告・監視が横行するに違いない。

こうした憲法蹂躙の国や社会は断じて許されず、「導火線」となる秘密保護法はただちに廃止されなければならない。情報公開が趨勢になっている国際社会で認知され得るものでもない。

秘密保護法反対のたたかいは、国民各層の民主主義や人権を擁護する運動、情報公開や原発やTPPに反対する運動などと深く結びつき、本質と内容が明らかになるにつれて反対の声は拡大し、海外にまで広がった。
国民の多彩なたたかいを財産に、さらに前進させなければならない。

秘密保護法の発動を許さず廃止を要求し、報道の自由や知る権利を拡大し、自衛隊や警察などへの監視と批判を強めなければならない。民意とかけはなれた暴挙を行った政府・与党を許さず、国民の声が反映される議会と政治を実現しなければならない。

全国人権連は、今後も国民各層を連帯し全力でたたかうものである。